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中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)11異聞総録・其他(宋)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-27 17:50:56  点击:  切换到繁體中文


   義犬

 せい州にしゅ老人というのがあって、薬を売るのを家業とし、常に妻と妾と犬とを連れて、南康県付近を往来していた。
 紹興二十七年四月、黄岡こうこうの旅館にある時、近所の村民が迎いに来て、母が病中であるからその脈を見た上で相当の薬をあたえてくれと頼んだ。ここから五、六里の所だというので、朱老人は今夜そこへ一泊するつもりで、妻妾と犬とを伴って出てゆくと、途中の森のなかには村民の徒党が待ち伏せをしていて、老人は勿論、あわせて妻妾をも惨殺して、その金嚢かねぶくろや荷物を奪い取った。
 そのなかで、犬は無事に逃げた。彼はその場から主人の実家へ一散に駈け戻って、しきりに悲しげに吠え立てるのみか、何事をか訴えるように爪で地を掻きむしった。家の者もそれを怪しんで、県の役所へいてゆくと、犬はその庭に伏して又しきりに吠えつづけた。その様子をみて、役人もさとった。
「もしやお前の主人が何者にか殺されたのではないか。それならば案内しろ」
 言い聞かされて、犬はすぐに先に立って出た。役人らもそのあとに付いてゆくと、犬はかの森のなかへ案内して、三人の死骸の埋めてある場所を教えた。
「死骸はこれで判ったが、賊のありかはどこだ」
 犬は又かれらを村民の住み家に案内したので、賊の一党はみな召捕られた。
(同上)

   窓から手

 少保しょうほ馬亮公ばりょうこうがまだ若いときに、燈下で書を読んでいると、突然に扇のような大きい手が窓からぬっと出た。公は自若じじゃくとして書を読みつづけていると、その手はいつか去った。
 その次の夜にも、又もや同じような手が出たので、公は雌黄しおうの水を筆にひたして、その手に大きく自分の書き判を書くと、外では手を引っ込めることが出来なくなったらしく、俄かに大きい声で呼んだ。
「早く洗ってくれ、洗ってくれ、さもないと、おまえの為にならないぞ」
 公はかまわずに寝床にのぼると、外ではれて怒って、しきりに洗ってくれ、洗ってくれと叫んでいたが、公はやはりそのままに打ち捨てて置くと、暁け方になるにしたがって、外の声は次第に弱って来た。
「あなたは今に偉くなる人ですから、ちょっとためしてみただけの事です。わたしをこんな目に逢わせるのは、あんまりひどい。しん※(「山+喬」、第3水準1-47-89)おんきょう牛渚ぎゅうしょをうかがって禍いを招いたためしもあります。もういい加減にしてゆるしてください」
 化け物のいうにも一応の理屈はあるとさとって、公は水をもって洗ってやると、その手はだんだんに縮んで消え失せた。
 公は果たして後に少保の高官に立身したのであった。
(同上)

   張鬼子

 洪州の州学正しゅうがくせいを勤めているちょうという男は、元来刻薄こくはくの生まれ付きである上に、年を取るに連れてそれがいよいよ激しくなって、生徒が休暇をくれろと願っても容易に許さない。学官が五日の休暇をあたえると、張はそれを三日に改め、三日の休暇をあたえると二日に改めるというふうで、万事が皆その流儀であるから、諸生徒から常に怨まれていた。
 その土地に張鬼子ちょうきしという男があった。彼はその風貌が鬼によく似ているので、鬼子という渾名あだなを取ったのである。
 そこで、諸生徒は彼を鬼に仕立てて、意地の悪い張学正をおどしてやろうと思い立って、その相談を持ち込むと、彼は慨然がいぜんとして引き受けた。
「よろしい。承知しました。しかし無暗に鬼の真似をして見せたところで、先生は驚きますまい。冥府の役人からこういう差紙さしがみを貰って来たのだぞといって、眼のさきへ突き付けたら、先生もおそらく真物ほんものだと思って驚くでしょう。それを付け込んで、今後は生徒を可愛がってやれと言い聞かせます」
 しかし冥府から渡される差紙などというものの書式しょしきを誰も知らなかった。
「いや、それはわたしがかつて見たことがあります」
 張は紙を貰って、それに白礬はくはんで何か細かい字を書いた。用意はすべて整って、日の暮れるのを待っていると、一方の張先生は例のごとく生徒をあつめて、夜学の勉強を監督していた。
 州の学舎は日が暮れると必ず門を閉じるので、生徒はすきをみてそっと門をあけて、かの張鬼子を誘い込む約束になっていた。その門をまだ明けないうちに、張鬼子はどこかの隙間から入り込んで来て、教室の前にぬっと突っ立ったので、人びとはすこしく驚いた。
「畜生、貴様はなんだ」と、張先生は怒って罵った。「きっと生徒らにたのまれて、おれをおどしに来たのだろう。その手を食うものか」
「いや、おどしでない」と、張鬼子は笑った。「おれは閻羅王えんらおうの差紙を持って来たのだ。嘘だと思うなら、これを見ろ」
 かねて打ち合わせてある筋書の通りに、かれはかの差紙を突き出したので、先生はそれを受取って、まだしまいまで読み切らないうちに、かれはたちまちその被り物を取り除けると、そのひたいには大きい二本の角があらわれた。先生はおどろき叫んでたおれた。
 張は庭に出て、人びとに言った。
「みなさんは冗談にわたしを張鬼子と呼んでいられたが、実は私はほんとうの鬼です。牛頭ごづの獄卒です。先年、閻羅王の命を受けて、張先生を捕えに来たのですが、その途中で水を渡るときに、誤まって差紙を落してしまったので役目を果たすことも出来ず、むなしく帰ればどんな罰をこうむるかも知れないので、あしかけ二十年の間、ここにさまよっていたのですが、今度みなさん方のお蔭でろうしてしんとなし、無事に使命を勤めおうせることが出来ました。ありがとうございます」
 かれは丁寧に挨拶して、どこへか消えてしまったので、人びとはただ驚き呆れるばかりであった。張先生は仆れたままで再び生きなかった。
(同上)

   両面銭

 南方では神鬼をたっとぶ習慣がある。狄青てきせい儂智高のうちこうを征伐する時、大兵が桂林の南に出ると、路ばたに大きい廟があって、すこぶる霊異ありと伝えられていた。
 将軍の狄青は軍をとどめて、この廟に祈った。
いくさの勝負はあらかじめ判りません。就いてはここに百文のぜにをとって神に誓います。もしこの軍が大勝利であるならば、銭のおもてがみな出るように願います」
 左右の者がさえぎっていさめた。
「もし思い通りに銭の面が出ない時には、士気をはばめるおそれがあります」
 狄青はかないで神前に進んだ。万人が眼をあつめて眺めていると、やがて狄青は手に百銭をつかんで投げた。どの銭もみな紅い面が出たのを見るや、全軍はどっと歓び叫んで、その声はあたりの林野を震わした。狄青もまた大いに喜んだ。
 彼は左右の者に命じて、百本の釘を取り来たらせ、一々その銭を地面に打付けさせた。そうして、青いしゃの籠をもってそれをおおい、かれ自身で封印した。
凱旋がいせんの節、神にお礼を申してこの銭を取ることにする」
 それから兵を進めてまず崑崙関こんろんかんを破り、さらに智高ちこうを破り、※(「巛/邑」、第3水準1-92-59)ゆうかんを平らげ、凱旋の時にかの廟に参拝して、さきに投げた銭を取って見せると、その銭はみな両おもてであった。
(鉄囲山叢談)
 


 

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