您现在的位置: 贯通日本 >> 作家 >> 岡本 綺堂 >> 正文

中国怪奇小説集(ちゅうごくかいきしょうせつしゅう)08録異記(五代)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-27 17:48:00  点击:  切换到繁體中文


   異洞

 乾符けんぷ年中の事、天台の僧が台山たいざんの東、臨海りんかい県のさかいに一つの洞穴ほらあなを発見したので、同志の僧と二人連れで、その奥を探りにはいった。初めの二十里ほどは路が低く狭く、ぬかるみのような所が多かったが、それからさきは次第にひろく平らかな路になって、さらに山路にさしかかった。
 山は十里ほどで、それを越えると町へ出た。町のすがたも住む人びとも、世間普通と変ることはなかった。この僧は気を吸うことを習っていたので、別に飢えもかわきも感じなかったが、連れの僧はひどく飢えて来た。
 そこである食い物店へ行って食を乞うと、そこにいる人が言った。
飢渇きかつを忍んで行けば、子細なく還られるが、ここの土地の物をむやみに食うと、還られなくなるかも知れませんぞ」
 それでも余りに飢えているので、その僧は無理に頼んで何か食わせてもらった。
 それからまた連れ立って行くこと十数里、路がだんだんに狭くなって、やがて一つの小さい洞穴を見つけたので、それをくぐって出ようとすると、さきに物を食った僧は立ちながら石に化してしまった。
 ひとりの僧は無事に山を出て、ここはどこだと人に訊くと、牟平ぼうへいの海浜であるといわれた。

   異石

 帝ぎょうの時に、五つの星が天から落ちた。その一つは土の精で、穀城こくじょう山下に墜ち、化して※橋ひきょう[#「土+已」、159-2]の老人となって兵書を張良ちょうりょうに授けた。
「この書をよめば帝王の師となることが出来る。後日にわたしを探し求めるならば、穀城山下の黄いろい石がそれである」
 いわゆる黄石公こうせきこうである。張良は漢をたすけて功成るの後、穀城山下に於いて果たして黄石を発見した。彼は商山しょうざんにかくれていた四皓しこうにしたがい、道を学んで世を終ったので、その家では衣冠と黄石とを併せて葬った。占う者は常にその墓の上に、黄いろい気が数丈の高さにのぼっているのを見た。
 漢の末に赤眉せきびの賊が起った時に、賊兵は張良の墓をあばいたが、その死骸は発見されなかった。黄いろい石も行くえが知れなかった。墓の上にあがる黄気もおのずから消え失せた。

   異魚

 ※(「魚+侯」、第3水準1-94-45)※(「魚+夷」、第3水準1-94-41)こういぎょ河豚ふぐの一種で、虎斑がある。わが虎鰒とらふぐのたぐいであって、なま煮えを食えば必ず死ぬと伝えられている。
 じょう州にという男があった。家は豊かで、その妻の実家も富んでいて、夫婦の仲もむつまじく、なんの欠けたところもなかった。ところが、ある日のこと、呉が酔って来て、床の上にぶっ倒れてしまった。妻が立ち寄って、その着物を着換えさせ、くつを脱がせようとして其の足を挙げさせる時、酔っている夫は足をぶらぶらさせて、思わず妻の胸を蹴ると、彼女はそのままたおれて死んだ。夫は酔っていて、なんにも知らないのであった。
 しかし妻の里方さとかたでは承知しない。呉が妻をち殺したといって告訴に及んだが、この訴訟事件は年を経ても解決せず、州郡の役人らにも処決することが出来ないので、遂に上聞じょうぶんに達することになって、呉を牢獄につないで朝廷の沙汰を待っていた。
 呉の親族らはそれを聞いておそれた。上聞に達する上は必ず公然の処刑を受けるに相違ない。そうなっては一族全体の恥辱であるというので、差し入れの食物のうちにかの※(「魚+侯」、第3水準1-94-45)※(「魚+夷」、第3水準1-94-41)魚の生きなますを入れて送った。呉がそれを食って獄中で自滅するように計ったのである。しかも呉はそれを食っても平気であった。親族らはしばしばこの手を用いたが、遂に彼をたおすことが出来なかったのみか、却ってますます元気を増したように見えた。
 そのうちにあたかも大赦たいしゃに逢って、呉は赦されて家に帰った。その後も子孫繁昌して、彼は八十歳までも長命して天寿をまっとうした。この魚はなまえを食ってさえも死ぬというのに、なまのままでしばしば食っても遂に害がなかったのは、やはり一種の天命というのであろうか。





底本:「中国怪奇小説集」光文社
   1994(平成6)年4月20日第1刷発行
※校正には、1999(平成11)年11月5日3刷を使用しました。
※「※橋ひきょう[#「土+已」、159-2]の老人」には、「※(「土+巳」、第3水準1-15-36)いきょうの老人」の誤りを疑いましたが、初出の「支那怪奇小説集」サイレン社、1935(昭和10)年11月24日発行でも異同がなかったので、底本通りとしました。
入力:tatsuki
校正:小林繁雄
2003年7月31日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について
  • このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
  • [#…]は、入力者による注を表す記号です。
  • 「くの字点」をのぞくJIS X 0213にある文字は、画像化して埋め込みました。
  • 傍点や圏点、傍線の付いた文字は、強調表示にしました。
  • この作品には、JIS X 0213にない、以下の文字が用いられています。(数字は、底本中の出現「ページ-行」数。)これらの文字は本文内では「※[#…]」の形で示しました。

    「土+已」    159-2、159-2

上一页  [1] [2] [3]  尾页


 

作家录入:贯通日本语    责任编辑:贯通日本语 

  • 上一篇作家:

  • 下一篇作家:
  •  
     
     
    网友评论:(只显示最新10条。评论内容只代表网友观点,与本站立场无关!)
     

    没有任何图片作家

    广告

    广告