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権三と助十(ごんざとすけじゅう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-27 9:22:10  点击:407  切换到繁體中文


 
權三 もし、勘さん。どうも何とも申譯がありません。この長屋にゐた彦兵衞のせがれが大坂からわざ/\下つて來て、おやぢの無實を訴へると云つて泣いて騷ぐ。大屋さんも氣の毒がつて色々世話を燒いてやる。それに釣り込まれてわつし等もついうつかりと詰まらねえことを饒舌しやべつたもんだから、今さら拔きさしもならねえやうな羽目になつてしまつて、たうとうお奉行所まで引張り出されるやうなことになつてね。
勘太郎 (冷かに。)いや、それは大抵知つてゐますよ。その節は色々御心配をかけました。
助十 まあ、さう云はねえで、一通りは聽いておくんなせえ。何もわつし等だつて確かに見とどけたと云ふわけぢや無し、ほんの夜目遠目でちらりと見ただけのことだから、正直にその通り云ふ筈だつたのが、御白洲へ出て曖昧な事を云つちやあならねえ、何でもはつきりと物をいへと大屋さんが云ふもんだから、物の間違ひが自然と大きくなつて、お前さんにも飛んだ御迷惑をかけてしまひました。今となつちやあ、わつし等もまつたく後悔してゐるんですから、どうかまあ料簡しておくんなせえ。
おかん ほかの事とは譯が違つて、まつたく料簡のにくいことでせうが、わたくし共が打揃つて幾重にもお詫をいたしますから、どうぞ御勘辨なすつて下さいまし。
勘太郎 (しづかに。)さうめい/\に御挨拶にやあ及びません。腹を立つてゐるくらゐなら、こんな物を持つてわざ/\お禮に來やあしませんよ。(やゝ皮肉らしく。)つまりはわたしの身状みじようが惡いからで……。左官屋の勘太郎は泥坊でもしさうな奴だ、人殺しでもしさうな奴だと、不斷からおまへさん達に睨まれてゐるので、自然こんなことになつたのですよ。
權三 いや、さう云はれると、いよ/\穴へでも這入りたくなるが、そこをまあ勘辨しておくんなせえ。
助十 これにりてこの後は、決して他人樣ひとさまの噂なんぞはしませんから、今度のところだけは何分勘辨して……。
勘太郎 まあ、同じことを幾度も云はないでもいゝ。なにしろ私はお禮に來たのだから、素直にこれを納めてください。わたしの持つて來た酒だからと云つて、まさかに毒が這入つてゐるわけでもないから。
助八 (むつとして。)おい、勘太郎さん。飛んだ人違ひをしてお前さんに迷惑をかけたのは重々こつちが惡い。それだから權三も、兄貴も、この通り平あやまりに謝まつてゐるぢやあねえか。それにおめえは男らしくもねえ。堪忍するなら堪忍する、堪忍しねえなら堪忍しねえと、なぜ綺麗さつぱりと云つてくれねえのだ。柄にもねえ切口上で、意地の惡い御殿女中のやうに、うはべは美しく云ひまはしながら、腹にはとげを持つてゐるのが面白くねえ。第一、お禮に來たとはなんの事だ。こつちはお前にあやまりこそすれ、おめえに禮を云はれる覺えはねえのだ。
勘太郎 (あざ笑ふ。)それはおまへさんのひがみといふものだ。お禮と云つたのが氣に入らなければ、わたしが無事に娑婆へ出て來た身祝ひだと思つてください。
助八 いけねえ、いけねえ。おれの持つて來た酒だからと云つて、まさがに毒が這入つてゐるわけでもねえなぞと、いやなことを云ふぢやあねえか。酒の毒よりもおめえの口に毒がある。それを默つて聽いてゐられるものか。折角のおこゝろざしだが、兄きに代つておれが斷るから、こんなものは持つて歸つて貰ひてえ。
勘太郎 それでは喧嘩だ。もう少し穩かに口をきいて貰ひたいな。
(權三の家の縁の下から一匹の犬が出て來て、勘太郎をみてすさまじく吠えながら飛びかゝらうとする。勘太郎は再び兇暴の相をあらはして屹と睨む。犬はます/\吠える。)
雲哲 又のら大が出て來やあがつたか。
願哲 貴樣も殺されるな。つ、叱つ。
(ふたりに逐はれて犬は上のかたへ逃げ去る。)
おかん (云譯らしく。)あの野良犬にやあ困るねえ、だれを見てもすぐ吠えるんだから。
權三 犬だつて可愛くねえ奴にやあえるのだらう。よく考へてみると、成程こりやあ八の云ふ通りで、折角のおこゝろざしは有難てえが、どうもおまへさんからこんな物を貰ひたくねえ。お禮にしてもお祝ひにしても、これは持つて歸つて貰はう。おい、助。さつきから無暗にあやまつて、損をしたやうだぜ。
助十 おれもさう思つてゐるのだ。(勘太郎に。)まつたくおめえの云ひ草は御殿女中で、いやにチク/\當るやうだ。堪忍しねえなら堪忍しねえ、恨みを云ひに來たなら恨みを云ひに來たとはつきり云つてくれ。面當てらしく酒や肴を持つて來て、眞綿に針で人をいぢめようとするのは、江戸つ子らしくねえ仕方だ。
勘太郎 なるほどお前さん達は江戸つ子だ。(又あざ笑ふ。)上方者かみがたものの尻押しをして、江戸つ子にぬれぎぬをきせるなぞとは、本當の江戸つ子でなければ出來ない藝だよ。
助十 やかましいやい。手前のやうな江戸つ子があるから、本當の江戸つ子のつらが汚れるのだ。こんなものは持つて歸れ。(角樽を投げ出す。)
勘太郎 おまへさん達はあやまつてゐるのか、喧嘩を賣るのか。
權三 もう斯うなりやあ喧嘩だ、喧嘩だ。
おかん まあ、お前、お待ちよ。
權三 えゝ、牢へ入れられようが、首が飛ばうが構はねえ。こんな野郎は半殺しにしてらなけりやあ氣が濟まねえのだ。
おかん また喧嘩を始めちやあいけない。おしよ。止しておくれよ。
(おかんは頻りに權三を支へる。)
勘太郎 近いうちにお咎めがあると思つて、みんな自棄になつてゐるのか。そんな病犬やまいぬの相手になつて、折角明るくなつた體をもう一度暗いところへ遣られては堪らない。はゝゝゝゝ。
(勘太郎は笑ひながら下のかたへ行きかゝると、助十は無言で飛びかゝつて、勘太郎の横面をなぐる。)
勘太郎 えゝ、なにをしやあがるのだ。氣ちがひめ。
(勘太郎は又もや人相を一變して、左右を睨む。)
勘太郎 おとなしくしてゐりやあ増長しやあがつて、好加減にしろ。豐島町の勘太郎を知らねえか。この大哥あにさんと喧嘩をするなら、からだの骨から鍛へて來い。
助八 こつちは生きてゐる人間だ。猿の喉を絞めるのとは譯が違ふぞ。
(助八は勘太郎にむしや振り付けば、勘太郎は突き退ける。助十は又むしやぶり付く。權三も留められるのを振切つて飛びかゝる。三人は遂に勘太郎をねぢ倒して袋叩きにする。)
權三 おい、與助。こいつはおめえの猿のかたきだ。みんなと一緒になぐれ、なぐれ。
雲哲 なるほど猿のかたき討か。
願哲 これも長屋の附合だ。
(與助は竹の鞭を把り、雲哲等も一緒に勘太郎をなぐる。)
勘太郎 さあ、どいつも皆んな下手人だぞ。殺すなら殺せ。立派に殺してくれ。
權三 こいつを歸すと面倒だ。ふん縛つてしまへ。
助十 八。このあひだの繩を持つて來い。
(助八は奧へかけ込んで麻繩を持つて來る。)
おかん 縛つてもいゝのかえ。
助八 よくつても惡くつても構ふものか。毒食はば皿までだ。
權三 さあ、早く縛れ、縛れ。
(助八は勘太郎を縛る。)


 

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