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超人間X号(ちょうにんげんエックスごう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:50:25  点击:  切换到繁體中文


   大爆発


 そのころ、武装警官の一隊は、五台のトラックに分乗して、氷室検事といっしょに、この三角岳のふもとに迫っていた。
 いよいよ道はのぼり坂になる。一番前を走っている乗用車には、警察署長と氷室検事がのりこんで、一生けんめいに、三角岳の上にそびえる研究所の建物をながめていた。
「すると、あの谷博士は、やっぱりにせ者だったのだね。ぼくもはじめて会った時から、どうも怪(あや)しいとにらんでいた」
 というのは氷室検事。
「いや、どうも私がうかつで申しわけありませんでした。おかしいおかしいとは思っていたのですが、何しろこのあたりは、メトロポリスとかいう化物地帯(ばけものちたい)で、木が物をいいだしたり、石や机がひとりで動きだしたり、あまり気味がよくないので、警官もこわがって、やって来るのを二の足ふんでいたんです。しかし山形君は、えらい手柄(てがら)を立てました。これで私も、鼻が高いというものです」
 署長は、振りこぶしを鼻の前にあてて、天狗(てんぐ)のようなまねをして見せた。その時である。突如として自動車にとりつけてある短波受信機から、あの緊急待避警報(きんきゅうたいひけいほう)がひびいて来たのは――
 署長の高い鼻も、とたんにペシャンコになってしまった。
「ストップ、ストップ、この車をはやくとめるんだ」
「はい」
 運転手も、あまりあわてて、ブレーキをかけたものだから、その次に走っていたトラックは、この車にしょうとつして、乗用車の方は横たおしとなり氷室検事も署長もほうぼうをすりむいて、やっと車の中からはいだして来た。
「ばか、何をするんだ」
 署長はかんかんになって、トラックの運転手を叱りつけた。
「すみません。署長さんが、あまり急げ急げといわれましたし、それにまた、この車が思いがけなくとまりましたので」
「それはそうと、全員総退却(そうたいきゃく)だ。何をぐずぐずしているんだ」
「ここまで来て、ひっかえすんですか」
 功名心(こうみょうしん)に燃えている武装警官隊は、山形警部一人だけに手柄をされてなるものか、署長が臆病風(おくびようかぜ)にとりつかれたら、自分たちだけでも突撃しようという意気ごみであった。
「ばか。命令だから引っかえせ。たった今、山形警部から、短波放送で連絡があった。あと十分もすれば、原子爆弾の爆発がおこって、あの研究所はこっぱみじんに吹っとぶんだ。おまえたちは、原子爆弾の恐ろしさが分からないか」
「えッ、原子爆弾ですか。それではわれわれもまごまごしていると、原子病にかかるわけですね」
「そうだ。そのとおり。さあ、引っかえそう」
 その時である。道の三百メートルばかり向こうで、ぱーッと物すごい土煙(つちけむり)があがった。
「さあ、ピカドンだぞ」
 検事も、署長も、警官隊も、あわてて道のそばの谷そこへ逃げ込んだ。
「どうも君、へんだよ。いまのは原子爆弾ではなさそうだぜ。まだ研究所の建物は、あのとおり、しっかりしているじゃないか」
 双眼鏡(そうがんきょう)で、おそるおそる研究所の方を見まもっていた検事が、そばの署長にささやいた。
「そういえば、なるほどそのとおりですね。どうしたんだろう」
 これがロケット砲弾の砲撃だった。署長のことばが終らぬうちに、第二弾がとんで来て、乗用車もトラックも、こっぱみじんに吹きとばされた。さいわいに、警官隊はみな車をとびおりて、穴の中や谷底(たにそこ)にかくれていたので、人間の負傷はなかったが、もうこうなっては一行も進退きわまってしまったのである。
 砲撃はますますはげしくなりはじめた。ところが、あまり狙(ねら)いが正確なので、かえって命には別条(べつじょう)がなかったのである。
 その時、研究所の屋上からは、ものすごい閃光(せんこう)とともに、緑色の流星(りゅうせい)のようなものが、まっすぐに中天高くとびあがった。
「おや、あれはなんだ」
「きっとV一号だぜ」
 その瞬間、砲撃がばたりとやんだかと思うと、大地もくずれるかと思われる大音響(だいおんきょう)とともに、目もくらむような赤・黄・青・緑・白の五色の光りが研究所を包み、もうもうとしたきのこ形の噴煙(ふんえん)が、建物の屋上から、大空高く巨大な翼(つばさ)をひろげたのである。
「なむあみだぶつ、なむあみだぶつ……」
 署長は、谷博士、山形警部それから勇敢な五少年の死をいたんで、思わずお念仏(ねんぶつ)をとなえたのだった。


   宇宙航空船(うちゅうこうくうせん)


 ところが、谷博士も、山形警部も、五人の少年も、けっしてこの爆発で最期をとげたわけではなかった。
 谷博士は、機械人間の操縦装置が破壊された時、屋上からヘリコプターによる脱出を考えたのである。
 ところが、屋上へ来て見たときには博士もすっかりおどろいた。というのは、X号がサルになった谷博士を脳波受信機でいじめながら作っていた、宇宙航空船ができあがって、そこにおかれてあったからだった。
 これは、総軽金属製、世界最大の飛行機の二倍も大きく、原子力によるロケット装置で活動し、時速三千キロ、月世界はおろか、火星ぐらいまでなら往復できる、おそるべき性能を持った航空船であった。
 X号はこれによって、世界中をふつうの飛行機や、高射砲のとどかない高空から、原子爆弾で爆撃しようと計画し、すでに今日、その試験飛行にとびたつばかりで、第一の原子爆弾を東京に落とそうと、その中につみこんであったのだった。
 入口に番をしていた機械人間を、火焔放射器(かえんほうしゃき)で倒すと、七人はまんまとその中にしのびこんだ。
 何しろ、三階建てのホテルぐらいは十分ある大きさだったから、山形警部や少年たちは、大分まごついたが、博士は道に迷いもせず、その操縦室にたどりついた。
「しめた。機械はすぐ動くように準備ができてあるし、原子爆弾もつみこんである。これならば、もうこちらの勝ちだ。X号もこうなったら運のつきだぞ」
 博士は小おどりして喜んでいた。
「さあ、さっそく出発して、空中から研究所を爆撃しよう。まあ、なんにしても、このやっかいな、機械人間のきものはぬごうじゃないか」
 七人はほッとしたように、首をとり、手をとり、足をとって、機械人間ならぬ、もとのからだにかえったのである。いや、もとのからだといっても、五人の少年はともかく、博士はサルのからだのままだったし、山形警部は女のからだのままだったが――
「先生、まだ手術はしてくださいませんね」
 警部は、小わきにかかえている自分のもとのからだを見て、心配そうにたずねた。
「いまはそんなことをしているひまはないよ。もう少し待ちたまえ」
 博士は機械をいじりながら、それどころではないというように、いらいらした調子で答えた。
「でも、それでは、夏ですから、からだがくさってしまいますよ」
 なるほど、警部にとっては、それこそ天下の一大事である。
「それが心配だったら、冷蔵室へ入れておきたまえ」
「この中には、冷蔵室はあるのですか」
「もちろんだよ。この下の二階の中央のM17と書いてある部屋だ」
「ああ、それでやっと安心した。では行って来ましょう」
 山形警部は、あぶら汗(あせ)を流しながら、自分のからだを背負って、えっちらおっちら歩きだした。こういう危急存亡(ききゅうそんぼう)の時でなかったら、それは吹きだしたくなるような、珍妙(ちんみょう)な光景であったろう。何しろ、女学生みたいな若い娘が大の男の裸のからだを背負って歩いているのだし、この精妙な操縦装置の前に坐って、機械をいじっているのがサルなのだから――
「よし、機械の調子はしごく良好(りょうこう)だ。それではだまって爆撃するのも卑怯(ひきょう)だから、X号に最後の宣告(せんこく)をくだしてやろう」
 博士はマイクロホンに向かって、あの宣告を行ったのである。
「さあ、出発だ」
 博士は始動装置(しどうそうち)のボタンを押した。ところが、機械の調子が少しへんなのか、航空船はなかなか飛びあがろうとはしなかった。
「おや、どうしたんだろう」
 博士もさすがにあわてていた。あちらを直し、こちらをいじって、どうやら故障の原因はのみこめたようであったが、いざ出発となるまでには、七八分の時間がかかった。
「では出発」
 博士はふたたびボタンを押した。それとともにこの三百トンのロケット航空船は、流星のように中天へ舞いあがったのだった。

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