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超人間X号(ちょうにんげんエックスごう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:50:25  点击:  切换到繁體中文


   谷博士のものがたり


「あなたは、ほんとうに谷先生なんですか。それでは、いまここから出ていった、谷博士はいったい何者でしょう」
 戸山少年は、うんとおなかに力をいれて、十分念をおしたのである。
「わからないかね。君たちは、あれがX号の化(ば)けていることに気がつかなかったのかい」
 サルは檻の中で、じだんだふんでくやしがっている。
「でも、先生は、目をわるくして、ぼくたちの顔をごらんになったことがなかったでしょう。それによく、ぼくたちだということが分かりましたね」
 何しろ、いままで何度もだまされているので、戸山君もなかなかゆだんをしないのである。
「それはね、目は見えなくても、君たちの声はちゃんとおぼえていたし、それにX号が、君たちがこの研究所に来ていることを話してあったから、君たちがこの部屋へはいって来たときには、ちゃんとけんとうがついたんだよ」
 サルは怒(おこ)ったようだった。
「よく分かりました。だけど、この檻はどうしてあけたらいいのです」
「となりの部屋に、鍵がおいてあるはずだから、それをさがして来てくれたまえ」
 戸山少年は、あわてて部屋をとびだして、となりの部屋をさがしたが、あいにくそこには鍵はなかった。ただそこにも大きな檻があって、中には谷博士と同じ種類のサルがぐうぐうと大きいいびきをかいて、眠っていたのである。
「先生、鍵はどうしても見つかりませんでしたよ」
 戸山君は、さっきの部屋へかえって、サル――いや本物の谷博士に報告した。
「そんなはずはないんだが――さてはX号が持っていったかな」
 サルはばりばりと歯ぎしりをした。
「ところで先生、先生はどうしてこんな所にとじこめられたのです」
「それがね、ぼくもゆだんしていたんだ。X号がぼくを病院からさらって逃げたことは、君たちもよく知っているだろう。ところが君たちが、ぼくに化けたX号をにせ者だと見やぶって、この研究所を襲撃したので、X号は火辻軍平のからだにはいっていては危険だと思ったんだね。それでぼくを殺して、ぼくのからだの中へはいりこみ、君たちの目をごまかしたんだ。そしてぼくの脳髄(のうずい)だけを、このサルのからだに移して、あとでまた、役に立てようとしたんだよ」
「すると、となりの部屋にいたサルは……」
「あのサルも、ぼくのからだと同じ、人工(じんこう)のサルだよ。ただむこうは、サルの脳髄しか持っていないし、こちらは人間の脳髄を持っているだけのちがいだよ」
「それでX号は、これからどんなことをやりだそうというのです」
「あいつは恐ろしいやつなんだ。智恵の力はふつうの人間とは、くらべものにならないくらいすぐれているが、感情だの、道徳(どうとく)だのというものは少しも持ってはいないんだ。あまり自分の力がすぐれているんで、あいつはこのごろでは、少し増長(ぞうちょう)して来たらしく、地球上の人類を全部殺してしまって、自分らがそのかわりにとってかわろうとしているんだ」
「そんな恐ろしいことが、ほんとうにできるんですか」
 少年たちは、恐ろしさにがたがたとふるえていた。
「できる。X号にならできるとも。君たちは、この地下室をなんだと思うかね」
「さあ、ぼくたちには、よく分かりません」
「X号の秘密工場だよ。あいつは、いつのまにか、機械人間の力をかりて、この三角岳(さんかくだけ)の地下に、十六階の地下工場をつくりあげた。ここはその一番下の階なんだが、この上の十五階の一つ一つでは、ものすごい物ばっかりがいま作られている。
 ぜったいに防ぎようのない、伝染病(でんせんびょう)のばいきんだとか、なんの臭いもしない猛烈な毒ガスだとか、いまの人間の力ではまだ完成されていない、すごい威力を持った原子爆弾だとか。さいわい、この工場は、一週間ほどまえにできあがったばかりで、まだそんなものの大量生産にはうつってはいないが、もし一月もほうっておけば、その時は地球上の全人類が滅亡する時だよ」
 なんと恐ろしいものがたりだったろう。少年たちのからだは、木の葉のように震(ふる)えていた。どうしても、これはこのままにしておくことはできない。どんな方法をとっても、このX号の野心は粉砕(ふんさい)しなければならないが、さてその方法は――
 五人は、またしてもはっ、とかたずをのんだ。うしろの扉が音もなくひらいて、一人の機械人間がはいって来たのだった。


   ふしぎな機械人間(ロボット)


 五人の少年は、その機械人間の姿を見たとき、思わずぞっとしたのだった。精巧(せいこう)な機械の力で動く、この機械人間の恐ろしい怪力(かいりき)は、少年たちも毎日のように、自分らの目で見ていたのである。そして機械人間はすべて、にせの谷博士の命令には、ぜったい服従(ふくじゅう)して動くのだった。自分たちが、こうして地下室へ忍びこんで、サルになった本物の谷博士と話をしているところなどを見られたら、とうてい命はあるはずがない!
 しかし、この機械人間は、五人めがけてとびかかるような気配(けはい)はなかった。
「戸山君、君たちはここでいったい何をしているんだね」
 その声には、機械人間に特有の、きいきいとした金属的な音ではなく、ふつうの人間の声のような、やわらかさがあった。
「べつに……何も……」
「早く、自分の部屋にかえりたまえ。こんなところでうろうろしているところを、博士に見られたらたいへんだ。みんな殺されてしまうよ」
 そのことばにも、機械人間(ロボット)とは思えないような、同情の調子がみなぎっている。
「君、君はいったい何者だね」
 檻(おり)の鉄棒につかまって、ものすごい目で機械人間の方をみつめていた、サルの谷博士が、がてんがいかないというふうにたずねた。
「おや、このサルは口をきくんだね。そういうおまえこそいったい何者だ」
 機械人間はおこったようであった。
「きさまらは、X号の一味のくせに、ぼくの正体(しょうたい)がわからないのか。ぼくこそ、ほんとうの谷博士だぞ」
 機械人間は、おどろいたように、二三歩よろよろとよろめいた。
「そんなばかな……そんなはずは……だがいったいそれはほんとうですか」
「ほんとうだったら、どうするんだ」
「そういえば、声もたしかに先生の……これは失礼いたしました。ずいぶん先生を、おさがししていたんですがね。まさか、こんなところにおられるとは気がつきませんでしたから。先生、X号の陰謀(いんぼう)をごぞんじですか。地球上の人類を絶滅(ぜつめつ)させて、自分らがそのかわりにとってかわろうという………」
「知っている。知っているとも。X号は気が変になってしまったんだ」
「そのとおりです。先生、早くこの檻から出てください。そして先生のお力でなんとかして、このX号を倒してください。さもないと、あとわずかのうちに、とりかえしのできないことになりますから……」
「わかっているよ。君がそんなにいうのなら、ともかくここから出してくれたまえ」
承知(しょうち)しました」
 機械人間はこつこつと足音を立てて、廊下(ろうか)の方へ姿を消した。
「戸山君、これはどうしたんだろうね。見つかったら命がないと思って、ひやひやしていたら、あの機械人間は、ふしぎなほど、こちらに親切じゃないか」
 一人の少年が、戸山君の耳にささやいた。
「そうだね。じっさいふしぎだ。機械人間はぜんぶ、X号の手下だと思っていたら……きっと、機械人間もああして考える力を持つようになったものだから、X号に反対する仲間もそのうちにできて来たんだろうね」
 こうでも考える以外、まったくなんとも考えようはなかったのである。
 そのうちに、機械人間は、手に何か、火焔放射器(かえんほうしゃき)のようなものをかかえてかえって来た。
「先生、それではこの錠(じょう)を焼ききりますよ。やけどをするといけませんから、向こうのすみへ、はなれていてください」
 しゅーッと音がして、機械からは、紫色の雷弧(アーク)がとびだした。その火にあたると、がんじょうな鉄の錠も、みるみるあめのようになって、どろどろに熔(と)けおちてしまったのだった。
「さあ、これで扉はあきましたから、出ていらっしゃい」
 サルは、おどりあがって、檻からとびだした。
「ありがとう。機械人間君、お礼をいうよ。このとおりだ」
 サルは機械人間の鉄の手をにぎって、ぽろぽろと涙をこぼした。
「お礼なんか、どうだっていいんですよ。だれかに見つかるといけませんから、ちょっと細工(さいく)をしておきましょう。どうせばれるにはちがいありませんが、一分でも時をかせいだ方が有利ですからね」
 機械人間は、檻をたたいて何か合図をした。すると空になった檻は、すっかりひとりでに動いて廊下へ出た。と思うと、廊下からは、となりの部屋にあったはずの、サルの眠っている檻が、ひとりではいって来たのである。
「こうしておけば、しばらくは先生がここから逃げだしたこともごまかせるでしょう。X号は、先生がいつのまにか、サルに退化(たいか)したと思ってびっくりしますよ。わっはっは」
 機械人間はこういって、からからと笑った。なんとふしぎな機械人間ではないか。
「それでは先生、みなさん、こちらへ」
「いったい、君は何者(なにもの)なんだね」
 サルの谷博士は、まだまだこの機械人間に気は許せないという様子であった。機械人間は、ふふふとふくみ笑いをすると、サルの耳に口をよせて、何かくしゃくしゃ、ささやいた。
「えッ、君はすると……」
「しッ、先生、大きな声を出しちゃいけませんよ。この建物の中では、何一つゆだんして物がいえないのですよ」
 機械人間はこういって、じッとあたりの様子をうかがっているのだった。

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