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超人間X号(ちょうにんげんエックスごう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:50:25  点击:  切换到繁體中文



   ひらけゴマ


 実験室の中には、人間一人いなかった。壁のスイッチをひねっても、部屋の中には、大きな放電装置と、いくつかの機械が並んでいるばかり、博士はこの部屋から出て来たはずはないのに、今その姿はどこにも見えないのだ。
「まさか、いくらX号だといって、消えてなくなるわけはないだろうにね」
 この少年たちは、谷博士を、X号の化けたものときめこんでいるのだった。
「いや、きっとどこかに、秘密の抜け穴があるんだよ」
「でも、それなら、なんだよ。壁なり床のどこかに接ぎ目がありそうなもんじゃないか。このとおり、床は厚いコンクリートだし、壁もそのとおり、探すだけ、むだだぜ」
「そんなのあたりまえの考えかたさ。ここの建物は、まるで化物屋敷(ばけものやしき)だから、どこにどんなかくし戸や抜け道があるかも知れないよ」
 戸山少年は、あくまで自分の考えをすてようとはしなかった。
 だがいくら壁をたたき、床をはい、機械や戸棚のかげや下を探しまわっても、そんな抜け穴は、どこにも発見できなかった。
「とてもだめだよ。もしそんなものがあったとしても、ぼくたちにはぜったいに見つからないようになってるんだろう」
 少年たちは、もうすっかりのぞみをなくした様子(ようす)であった。
「ちぇッ、残念だなあ。どこかにあるにはちがいないんだがなあ。むかしのアラビアンナイトというおとぎばなしなら、こうして立って壁へ向かって、何か呪文(じゅもん)をとなえると、大きな岩が動きだして、宝のかくし場所への道がひらくんだぜ」
「どんなふうにするんだい。やってごらんよ」
「あの呪文はなんといったっけな。そうそう、たしかひらけゴマと叫ぶんだよ……」
「あッ、戸山君、壁が、……壁が動きだしたよ……」
 少年たちは顔色をかえて、身ぶるいしながらたがいに身をすりよせた。それもそのはず、戸山少年が、ひらけゴマ、という合言葉(あいことば)を口走った瞬間、目の前の壁がぽかりと音もなく、大きな口をあけたのだ。
「これだ。これだったんだ。あの物語と同じようにひらけゴマといえば、秘密の通路への入口がひらくんだよ」
「じゃあ、どうする」
「このままにしちゃおけないよ。いったんこうして入口が見つかった以上、最後の最後まで博士の秘密を見やぶってやろうじゃないか」
「よし、では行って見よう」
 戸山君のほか四人の少年は、恐ろしさにいくらか二の足をふんではいたが、戸山少年があまり元気がよかったし、X号の秘密を見やぶってやろうという好奇心(こうきしん)でいっぱいで、この中にどんな恐ろしいものが、かくされているかなどということは少しも考えずに、壁の中へとふみこんだのだった。
 だが、そこはまるで押入(おしい)れのようなせまい穴で、右も左も前も上も下も、みな行きどまり、どこへ行きようもなかったのだ。
「戸山君、これはだめだよ。きっとちがうところへはいったんだ。このとおり、中には何もないじゃないか。出ようよ」
「いや、きっとここには何かあるはずだ」
 そのことばが終るか終らぬうちだった。
「あなたがたはどこまで行くのですか」
 どこからともなく、ひくい声が聞えて来たのである。
「谷博士のところへ行きたいんだ」
 戸山少年は、どきょうをきめて、元気よく答えた。
「それでは戸をしめてください。ここをしめてもらわないと、私は動けませんよ」
 だれが話しているかは知れないが、人間のものとは思われなかった。
 ここまで来てひっかえしては、かえって怪しまれることになる。だがまぐれあたりで、壁の扉はひらいたものの、扉をしめる合言葉までは知らないのだった。だが、「ひらけゴマ」ということばで扉がひらいたのだから、あのアラビアンナイトの中の文句どおりに、「とじよゴマ」といって見たらどうだろう。
 こう思った戸山少年は、手をあげて叫んだ。
「とじよ、ゴマ!」
 その瞬間、音もなく、壁はまたもとのようにぴたりととじた。そしてその小さな部屋はたちまち、矢のように下におりはじめた。
 エレベーターだ。この部屋はそのまま、エレベーターになっていたのだ。そしてさっき話しかけたのは、このエレベーターだったのだ。
 何十メートル、いや何百メートルくだったのだろう。いつのまにか、建物の下の丘の中には、こんな深い穴が掘られてあったのだ。
 五六分もすぎたころだろうか。エレベーターはしずかにとまった。
「はい、着きました」
 こんどは何も合言葉をいわなくても、目の前の壁はしずかにひらいた。そして五人の目の前にはせまい廊下がつづいていた。


   人かサルか


 五人がその廊下へ出ると、うしろの壁は、音もなくとじた。
 さて、これからどこへ行ったらよいのだろう。廊下の両がわには、いくつも部屋が並んでいるが、博士がどこにいるかは、ぜんぜん分からなかったのだ。むやみに扉を開けてまわるわけには行かないし、それにまた、扉がかんたんにひらくかどうか疑問である。
 だがこうしていても、しかたがないから、ためしに一番手前の扉の引き手を廻してみると、扉は手ごたえもなくすーッと開いた。しかし鍵がかかっていないだけあって、中は空、何もはいってはいないのである。
「この部屋はだめだね。何もないよ」
「それでは別な部屋を探そうや」
 戸山少年は先に立って、部屋を出ようとするほかの少年をおさえて、廊下の様子をのぞいたが、思えばこれがよかったのだった。
 その時、右がわの三番めの部屋から、谷博士がぷんぷん怒ったような顔をして、ポケットに手をつっこんで出て来たのである。
 もし五人がここで見つかったら、どんなひどい目にあったかも知れないだろう。だが博士は、この部屋に五人の少年が、かくれていることには気がつかず、エレベーターの方へ行ってしまったのだった。
「しまった。みんな、たいへんなことになったよ」
 さすが元気にみちみちた、戸山少年も、その時はぞッとしたのである。
「どうしてなんだい」
「だって、博士がエレベーターへ乗って、上へあがってしまったろう。そして博士が実験室へ出てしまったら、エレベーターは上へあがりきりになるんだから、ぼくたちは帰るわけには行かないじゃないか」
 なるほど、このエレベーターは、ボタンをおすと、ちゃんとその階まで、あがったりおりたりするような、ありふれたものとはちがうのである。
「こまったな」
「みんなどうする」
 五人が頭をあつめて相談しても、これという名案は浮かばなかった。
「戸山君が、あんまりむちゃなことをやりだすから、こんなことになるんだよ」
「そんなことをいったって、いまさらどうにもしようがないよ。ここまでせっかく来たんだから、博士の出てきた部屋には何があるか、まずそれから探ることにしようじゃないか。そのうちには、また名案も浮かぶだろう」
 五人は部屋から飛びだして、いま博士の出てきた部屋の扉の前に忍(しの)びよった。扉の引き手を廻すと、さいわいにこれにも鍵がかかっていない。きっと、まさかここまで来る人間はあるまいというので、博士もゆだんをしていたのであろう。
 部屋の中には、大きな檻(おり)が一つおいてあるだけだった。そしてその檻には、大きなサルが一匹動きまわっていたのである。
 日本ザルではなく、オランウータンかチンパンジーの類かと思われたが、そのサルは五人の顔を見ると、とたんに檻の中で飛びあがった。そうしてうれしそうに、涙をぽろぽろとこぼしていたのである。
「おや、へんだね。サルが泣くなんてことがあるのかしら」
「きっと、目にごみか何かが、はいったんだよ」
「しかし、博士はこの部屋で、サルを相手に、いったい何をしていたんだろう」
 少年たちが、部屋の中を、きょろきょろと見まわしていた時だった。どこからか、「戸山君」と、少年の名を呼ぶものがあった。
「おや、だれか、ほくの名まえを呼んだかね」
「だれも呼ばないよ」
「へんだね。気のせいかしら」
「戸山君、ぼくだよ。ぼくが分からないかね」
 なんとなく、聞きおぼえのあるような声だった。だがどこから聞こえて来るかは分からない。
「戸山君、わかった。わかったよ。このサルが、君の名まえを呼んでるんだよ」
 一人の少年がおどろいたように叫びをあげた。ほかの少年も思わず、ふりかえって、檻の中のサルを見つめた。
「そうだ。やっと気がついたかね。よく助けに来てくれたね。ぼくだよ。ぼくが分からないかね」
 サルは鉄の格子(こうし)にすがりついて、気が変になったようにわめきたてているのだった。
「早くここから出してくれ。そうしないと、たいへんなことがはじまるんだ。早く、早く、この檻を開けてくれ」
「あなたはいったいだれなのですか」
 戸山少年は、恐(おそ)るおそる、このサルにおうかがいを立てたのである。
「ぼくは谷だよ。X号のために、こんな目にあわされたんだ」
 サルの答えは、五人の少年を、心から震(ふる)えあがらせたのだった。

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