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超人間X号(ちょうにんげんエックスごう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:50:25  点击:  切换到繁體中文



   妖怪博士(ようかいはかせ)


 ところが、谷博士は何も悪者のために、こんな恐ろしい目にあわされているのではなかったのである。
 広い実験室には、博士のほかに、人一人見えはしなかった。ただ一人の機械人間(ロボット)が、機械の前に立っていただけであった。
 しかし、ふつうの人間ならば、百万ボルトの高圧電流を頭にあびては、一分、いや一秒でも、生きていられるはずはないのに、博士は平気で、にたにたと悪魔のような笑いを浮かべているではないか。
 しかも博士は、高い天井(てんじょう)から吊(つる)したロープの端の輪に両足をかけ、機械体操の要領(ようりょう)で、さかさにぶらさがっているのである。
 そのような恐ろしい放電は、六分ぐらいつづいた。
「もうよかろう、電気をとめてくれ」
 博士はひくい声でうめいた。
「先生、もうよろしいですか」
 機械人間は、念をおして、機械のスイッチを切った。
 実験室の中は一瞬、深い暗闇(くらやみ)に包まれたが、これはどうしたことだろう。博士の全身は夜光虫(やこうちゅう)のように、ボーッと青白い光りを放ち、髪の毛は針ねずみのように逆立(さかだ)って、その一本一本からは、ぱちぱちと音を立てて、ものすごい火花が飛んでいるではないか。
「一……二……三……」
 博士は、ひらりと宙を飛んで、空中でとんぼがえりをすると、床の上にまっすぐ降り立った。
「ああ、これでやっとせいせいした。たまには電気をかけないと、どうも疲れてやりきれないよ」
 まるで、あんま[#「あんま」に傍点]かマッサージでも、してもらったというように、博士はにやにやと笑って、腕に力こぶを作り、二三度深呼吸をしていたのであった。
「おい、あの五人の少年は、もう寝たかね」
 博士はタオルで、からだの汗をぬぐいながら、機械人間にたずねた。
「はい、もう部屋にかえって寝たと思いますが、見てまいりましょうか」
「きょうはおそいから、もういいよ。しかしあの五人の行動にはちょっとふ[#「ふ」に傍点]におちないところもある。あすからあの部屋に、電臓(でんぞう)をしかけて、その行動をいちいち報告させるようにしてくれ」
「はい。かしこまりました。何にしかけましょうか」
「テーブルか、壁か、そうだ。壁がよかろう。むかしから壁に耳あり、というからな。はっはっは」
 博士は、自分のしゃれ[#「しゃれ」に傍点]が、愉快でたまらないというように、両手をひろげて、大声で笑った。
「おい、着物をくれ」
「はい……」
 機械人間は、そばのテーブルの上においてあった博士の着物をとって渡した。じつにべんりな機械である。人間ならば、こんな真暗闇(まっくらやみ)の中では、何も目に見えないし、一歩も歩けはしないのに、この機械人間は、ちゃんと迷いもせずに、歩いたり、品物を見つけたりするのである。
「サルはどうしている。食物はよく食べているかね」
「はい。どうしておれを、こんな檻(おり)の中へ入れるんだ、などといって、大あばれにあばれておりますが、大丈夫ですよ。くたびれて寝てしまったようです」
 このふしぎな場所では、機械人間ばかりか、ふつうの動物や植物、いや生命を持たない道具までが、動いたり、話したりするのであったから、サルが話をするというのも、けっしてふしぎはないのであるが……。
「では、あすの準備はよろしくたのむ」
「承知しました」
「それでは寝てよろしい」
「お休みなさい」
 機械人間はピョコリと腰をかがめて一礼すると、扉を開けて、廊下へ出て行った。
「さあ、寝る前に、いっぺん、サルにあいさつをしておこうか」
 博士は、ぶきみな笑いを、唇のあたりに浮かべると、実験室の壁の前に立って片手を高くあげ、大声で叫んだ。
「ひらけ、ゴマ!」
 これはどうしたことだろう、何もなかった白壁(しらかべ)には、ポカリと畳一畳ぐらいの大きな穴があいたではないか。博士のからだは、音もなくその穴の中へと、吸いこまれて行った。
「とじよ。ゴマ!」
 中から聞こえる声とともに、壁の穴は、また音もなく、もとのようにとじてしまったのであった。


   恐ろしい疑い


 一方、五人の少年は、望遠装置にうつった、博士の恐ろしい姿に、すっかりおどろいてしまったのである。
「戸山君、いったい博士はどうしたのだろうね。どんな悪者のために、あんな目にあわされているのか知れないが、みんなで助けに行こうじゃないか」
「うん……」
 そういいながらも、戸山君は、望遠装置からはなれようとはしなかった。
「戸山君、どうしたんだい。早く行こうよ」
「君たち、これはたいへんな話だよ。ちょっとあわてずに待ちたまえ。いったいあれはほんとうの谷博士かしら」
「そんなこと、あたりまえじゃないか。谷博士でなかったら、だれだというんだい」
「もしかしたら、……X号が博士のからだの中にしのびこんで……」
 このおそろしい想像に、少年たちは冷水をあびせかけられたように、震(ふる)えあがってしまったのだった。
「どうして……どうして、そんなことがわかる」
「だって、君、ふつうの人間なら、百万ボルトの電流を頭にかけられたら、一分一秒でも、生きていられるわけがないじゃないか。それだのに、博士はにやにや笑っている。ほんとうの博士なら、どんなに不死身(ふじみ)だって……」
 だれも答えるものはなかった。
「いつか博士はぼくたちに、病院で、X号のことを話してくれたね。博士が作った人工生物、電臓(でんぞう)は、三千ボルトという高圧の電気をあびて、はじめて生命力を持ったんだ。そして初めは、機械人間のからだの中にはいっていた。それから火辻軍平(ひつじぐんぺい)の死体の中へはいりこんだ……」
 四人はがたがた震えていた。
「そんなことができるくらいなら、X号が谷博士を殺して、その屍体(したい)の中へはいりこみ、われわれの目をごまかすことも、ちっともむずかしいことはないだろう。そうだよ。きっとそれにちがいないとも。それだから、ああして百万ボルトの電流をあびても、平気で生きていられるんだよ」
「そうかも知れないね。だけど、それではぼくたちは、どうすればいいんだい」
「X号というのは、どんなことを考えているのか。ぼくたちにはまだよく分らない。だが、こうしてこのあたりが、まるでお化(ば)けばかり住んでいるような、ふしぎな国になっているのは、X号が何かをたくらんでいることをものがたっている。これはこのままにはしておけないよ」
「それではどうすればいいんだね」
「なんとかして、X号の秘密を探りだして、みなに報告するんだ」
「どうして探るんだい」
「うーむ。それはね……」
 さすがの戸山少年も、その方法には、ちょっと困った様子であった。何しろこの建物の中では、机が動きだすかも知れず、壁に耳があるかも知れないので、何一つゆだんはできないのであった。
 その時である。廊下にことことという足音が聞こえて来た。人間の足音ではない。機械人間が、廊下を一人で歩いているのだ。
「やはり機械人間だよ。実験室からこちらへ歩いて来た」
 扉を細目にあけて、のぞき見をしていた、少年がふりかえってささやいた。
「するとさっき望遠装置にうつった機械人間だな……」
 戸山少年は、何かしきりに考えこんでいた。
「おや、何も見えなくなったよ。実験室は真暗(まっくら)になって、もう博士の姿は見えないよ」
 望遠装置をのぞきこんでいた一人の少年が、おどろいたように叫んだ。
「それじゃあ、実験はすんだんだね」
 戸山少年は、唇を血の出るようにかみしめて、しきりに首をひねっている。
「ちょっと、便所へ行くふりをして、様子を見てくるよ」
 戸山少年は、みなのとめるのをふりきって、廊下へとびだしたが、まもなく帰って来てふしぎそうにいいだした。
「どうしたのか、実験室の戸は開いているし、中にはだれの姿も見えない。しかし、たしかに博士はあの部屋から出たはずはないから、どこか秘密の抜け穴がつくってあるにちがいないよ。みんなでその秘密をさぐろうじゃないか」
「うん、ではみんなで行ってみようよ」
 この中で、どんな恐ろしい目にあうとも知らず、五人の少年は、足音をしのばせて、まっくらな実験室の中へしのびこんだのだった。

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