您现在的位置: 贯通日本 >> 作家 >> 海野 十三 >> 正文

超人間X号(ちょうにんげんエックスごう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:50:25  点击:  切换到繁體中文


   博士の悔悟(かいご)


「やれやれ、谷博士は無事にこの研究所へ帰って来られたし、おそろしい超人間X号は、息の根をとめられてしまったし、これで長いあいだの怪事件も、すっかりかたづきましたな。これでわしらも大安心じゃ」
 村長の角谷岳平(かくやがくへい)が、そういって大きなため息をついた。
「いや、ほんとうに、みなさんにご迷惑をかけてあいすまんことでした。これからの私の仕事は、みなさんたちを幸福にするような方向へ進めて行くことを誓(ちか)います」
 谷博士は、これまでの気むずかしい態度をひっこめ、悔悟した罪人のように、しおらしいことをいった。
 氷室検事も、この場の調子に引きこまれたものと見え、
「まことにけっこうなことです。博士の方にも、また各村の住民諸君の方にも、今回の事件についてそれぞれ言い分はあると思うが、ここで水に流して、双方(そうほう)仲よくやってもらいましょう。どうか博士も、今後はあのX号のような、世間に迷惑をかける怪しいものを作らないように気をつけてください」
 と、訓戒(くんかい)のことばをのべた。
「それはよく分かっています。あいすまんことでした。これからは、この土地がうんと栄えるように、私はすばらしい事業を起こそうと考えているのです。それが世間をさわがせた私のお詫(わ)びのしるしです」
 谷博士は、涙をこぼさんばかりにして、そういった。
 すこしはなれた場所に、五人の少年たちはかたまっていた。博士が、しきりにあやまっているのを聞いた少年たちは、おたがいの顔を見あわした。
「ねえ、谷博士は、いやにあやまっているじゃないか。あんなこと、あやまらないでもいいと思うんだがなあ」
「谷博士は、目があいてから、人がらがかわってしまったね。目が見えないときは、もっと気むずかしい人だったがね」
「目の見えていた人間が、急に目が見えなくなると、あんなにいらいらするものだ。その反対に、目があくと、たいへん朗らかになる。心持ちがゆったりとするんだよ」
「そうかしら。でもぼくは、あの気むずかしい博士の方に親しみが持てる」
「それはそうだ。どういうわけだろう」
「どういうわけだろうかねえ」
 少年たちが、こそこそ、こんな会話をしているとき、谷博士の前へ、少女がつかつかと出ていった。もちろんこの少女は、例の山形警部だった。
「谷博士、私をもとのからだに戻してください。こんなふうに、少女の姿で、いつまでも置かれるのはかないませんよ。私は我慢をしますから、すぐ手術をしてください」
 山形警部の電臓を持った少女は、そういって博士に訴えた。
 これには、まわりに立っていた氷室検事をはじめ同僚や部下の警官たちも、大いに同情した。
「さあ、それはわしには自信がないのですがねえ」
 と、博士は、困った顔をして見せた。
「なぜです。それはなぜですか、私をこんな姿にしたのは、博士、あなたじゃありませんか」
「わしではない。X号がやったのです」
「でも、あなたが指導しました。あなたが手術のやりかたをX号に教えなければ、私はこんなからだにかえられなくてすんだのです」
「わしは、X号に強(し)いられた。そしてX号はわしの脳の働きを盗んだ。憎(にく)いやつだ」
「だから、博士、あなたは、私をもとのからだに直すことができるのです。私のもとのからだは、あの冷蔵室にちゃんとそのままになって保存されています。さあ、早く、あのもとのからだへ私の脳髄を移しかえてください。博士、お願いします。私は、こんな女の子のからだで、これ以上生きていられません」
 娘姿の山形警部は、泣いて谷博士に訴えた。
 だが、博士は首を左右に振った。
「お気のどくには思うが、すべては、X号のやったことです。わしには、そんな乱暴な手術をする勇気がありませんわい。わしに、それをせよといっても無理というものだ」
 博士は尻ごみをする。
 山形警部は、博士にすがりついて、いよいよ気が変になったようになって頼みこむ。それを見るに見かねて氷室検事も口ぞえをして、博士に頼んでみた。
 ようやく博士は、こういった。
「それほどいわれるならば、いつしかわしの気持ちが非常によくなり、からだの調子も上々の日に、思いきって手術をしてあげよう。それまではおとなしくして待ちなさい」
 これだけの口約束(くちやくそく)が、山形警部をたいへん喜ばせた。彼はもとのからだに戻る希望を持てる身になったのである。


   三角岳(さんかくだけ)メトロポリス


 それ以来、X号の乱行は、まったく見られなくなった。
 そうでもあろう、X号の本尊である電臓は、谷博士の手によって死刑囚火辻の遺骸(いがい)から取りだされ、そして活動を停止され、博士の冷蔵室の中に、厳重に保存されてあるのだ。
 火辻の遺骸は、あのとき氷室検事の一行が引きとっていった。
 これでもうX号の活動は完全にとまってしまったわけである。
 谷博士は日ましに元気になっていった。そして博士があのとき氷室検事にちょっともらしたとおり、このあたりの村々を栄えさせるための空前(くうぜん)の大事業に手を染めたのだった。
 まず、道路の修築(しゅうちく)が始まった。
 山を切りとり、崖(がけ)を補強(ほきょう)し、傾斜(けいしゃ)のゆるやかな道路を作っていった。どんなせまいところでも六メートルの幅(はば)を持っている道路をこしらえた。重要な道路は幅が三十メートルもあった。
 こんな道路を作るために、大じかけの土木工事(どぼくこうじ)が行われた。資材も、びっくりするほどたくさんいった。道路とともに、橋もこしらえねばならず、トンネルも掘らねばならなかった。
 こういう仕事を、谷博士が、全部自分で引きうけてやった。
 もっとも、博士が一人でやったのではなかった。働いたのは、博士が製造した機械人間(ロボット)たちだった。
 谷博士に化けていたX号も機械人間を作って売りだした。今、谷博士も、同じようにたくさんの機械人間を製造した。どっちも同じことをやった。しかしこんど谷博士の作りだした機械人間は、非常によく働き、そして正確に行動した。からだの大きさも、ずっと大きかった。顔は同じような機械的な円い同じ目鼻をつけた顔であったが、博士の作った機械人間は、滑稽(こっけい)でとぼけた童子(どうじ)のような顔つきをしていた。だから村人たちから親しみの目で見られた。
 こうして道路ができあがると、こんどは土地の人のために、すばらしい家を建ててあたえた。
 地上は五階もあり、地階が三階あるのが普通であった。耐火耐震(たいかたいしん)の構造を持っているばかりか、冬季には寒がらないで住んでいられ、家の中は春秋と同じようにらくに仕事や生活ができるように、べんりで能率のいい暖房装置(だんぼうそうち)が建物についていた。
 農民たちや炭焼きや猟師(りょうし)たちが喜んだことは、いうまでもない。
 この大建築事業も、たくさんの機械人間が使われ、博士はいつも指揮(しき)をとっていた。
 その次には耕地整理(こうちせいり)が行われた。それと同時に、すべての農具も農業も、機械化された。つまり、耕地は一度みんな一つにして考え、次にそれを機械農具で耕作するのにつごういいように再分割(さいぶんかつ)された。だから、まがった畦(あぜ)を持った耕地はなくなり、また妙な複雑な形をした耕地もなくなった。
 だから耕作は二重三重にらくになり、収穫(しゅうかく)は桁(けた)ちがいに増大した。農民たちの働く時間はすくなくなって、自分が自由に使える時間がたくさんできた。その時間を、農民たちは、楽しく音楽の練習に使ったり、読書に利用したり、工作に興(きょう)じたりした。
 ある家では、そんなにたくさんの家族が、耕作にあたらなくてもいいというので、若い人たちを都会へ出して、工業方面で働かせることにした家もある。
 水をひくこと、太陽熱を利用すること、電気栽培(でんきさいばい)のこと、通信機を備えつけること、運搬用(うんぱんよう)の自動車やヘリコプターを備えつけることなど、これを一つ一つ説明していったら、たいへんな紙数がいるので、ここにはくわしくのべないことにする。
 谷博士は、村がすっかりりっぱになったあとで、こんどは研究所を改築した。それはこれまでのものにくらべて、たいへん大きなものであった。地上から上まで、二十四階もあった。地階は十階だというが、それよりもっと深いといううわさもあった。そしてこの建物は異様(いよう)な形をしていて、だれも一度見ると忘れられない。しかし、村民の中には、こんどの研究所の建物の形が、どうも気味がわるくてならない、やっぱり前のきちんとした塔の方が、感じがよかったという者もあった。
 とにかく、この塔を中心にして、この三角岳地方は、都会にもまだ見られないほどのすごい機械文化都市が建設されたのであった。そしてなおおどろくことは、これらがわずか半年のあいだに完成したのであった。
 谷博士は、毎日五百体の機械人間を使ったということだが、もちろんそれは原子力を利用して、仕事の分量(ぶんりょう)も、ふつうの人間には見られないほど大きかったというものの、とにかく、この谷博士の仕事の手ぎわをまねできる者は、ちょっとなかろうと思われた。
 博士は、それだけで仕事をやめはしなかった。最新の科学技術を利用して、奇抜(きばつ)な計画を進めていった。それはどんなものであったか、章をあらためてお目にかけよう。

 << 上一页  [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20]  ... 下一页  >>  尾页


 

作家录入:贯通日本语    责任编辑:贯通日本语 

  • 上一篇作家:

  • 下一篇作家:
  •  
     
     
    网友评论:(只显示最新10条。评论内容只代表网友观点,与本站立场无关!)
     

    没有任何图片作家

    广告

    广告