護送車
まことに意外な裁判医の報告だった。
被害者旗田鶴彌は後頭部を撃ち抜かれて死んでいたのに、裁判医は「死因はピストルの弾丸ではない、心臓麻痺だ」といって来たのである。これでは長谷戸検事たちの困惑するのも無理ではない。一発弾丸を発射してあるピストルが家政婦小林トメの部屋の花活の中から発見せられ、これこそ事件の最有力な鍵として検事たちを悦ばせ、捜査と関係者訊問はそのピストルを中心に結集せられていたのであるが、大体その謎が解けようとしたときに、突然裁判医からのあの電話であった。折角ピストルを土台として積みあげたものが、この電話によって一瞬の間にがらがらと崩れてしまったのである。なんということだ。無駄骨と知らずに、ここまで一所懸命に追って来たのである。
長谷戸検事は、無言で椅子の背を抱えている。今朝からの疲労が一度に出てきたという顔つきであった。ピストルを発見した殊勲の佐々部長刑事は、もっとがっかりした顔になって、開け放しになった口を閉じようともしない。検事の隣の椅子では、大寺主任警部が、これは又今にも怒鳴りそうなおっかない顔であたりを見廻わしている。帆村探偵は、部屋の隅っこで、静かに煙草の煙を天井へふきあげている。
「今日はもう訊問はよそうや。訊問をやっても仕様がない」
長谷戸検事が突然椅子からぴょんと躍り上るようにして立って、そういった。皆は一斉に検事の顔を見た。
「ねえ、そうじゃないか。ピストルで撃たれて死んだのではなく心臓麻痺で死んだというが、それならそれで、裁判医から詳しく説明を受けないことには、われわれには一向に納得が行かない。そして捜査方針を改めて建直さにゃならない。だから訊問も捜査も一応中休みとして、明日の午前、裁判医を僕の部屋へ呼んで聴くことにする。時刻は九時半としよう」
検事のこの言葉に、一同は肯いた。
「検事さん。土居三津子が今護送されて、この邸へ到着する筈ですが、これはどうしますかね」
大寺警部が訊いた。
「それも同じことだ。死因がはっきりしないのに、その女を訊問しても仕様がないからね」
「ははあ」
大寺警部はちょっと不満のように見えた。
「じゃあ訊問しないで、廻れ右を命じますね」
検事は返事の代りに、首を縦に振った。
「分っているだろうが、事件の関係者はこの邸から外へ出さないことだ。亀之介、小林トメ、芝山宇平、本郷末子の四人だ。いいね」
現場係の巡査部長が、畏ってそれを承知した。それから長谷戸検事は、部下をひきつれて真先にこの邸を出ていった。帆村は椅子から立って、検事に軽く礼をしたが、検事はそれに気がつかないのか、すたすたとこの部屋を出ていった。
次に大寺警部の一行が帰り仕度を始めた。それについて帆村も一緒に部屋を出た。玄関のところで帆村は呼びとめられた。友人の土居が待っていたのだ。
「どうしたんだ。妹がここへ送られて来るという話だけれど、どうなるんだ」
土居は心配を四角い顔一杯にひろげて、帆村にきいた。帆村はその訳を話してやった。
「そうか。すぐ警視庁へ送りかえされるのか。どうだろう、その前ここでちょっと妹に話が出来ないだろうか」
「駄目だろうね」
帆村は気の毒そうに応えた。
「それに、こんなところで話をすると、後で検事の心証を害する虞れがある。適当な時に弁護士を立てて、それを通じて面会するのがいいね」
帆村は正しいやり方を薦めた。警部たちが門を出ようとしたとき、三津子を護送した本庁の幌自動車が警笛をならして門内へ入ろうとしたので両者が鉢合わせとなった。土居が自動車の方へ駈出して行ったので、帆村もすぐその跡を追った。警部は、停った自動車の中へ二言三言いった。すると自動車はそのまま邸内の庭へ入って来て、ぐるっと一廻りをすると門から出て行った。帆村は土居の腕をしっかり抑えながら、それを見送った。薄暗い自動車の中に、三津子に違いない女性の姿がちらりと見えた。向こうでも気がついたか、三津子は座席から前へ乗り出したが、そのときはもう兄や帆村が見えない角度になってしまっていた。帆村は土居の肩を叩いて、自分と一緒に事務所へ来るようにといった。
帆村の事務所(一)
事務所の扉を開くと、帆村を助手の八雲千鳥が出て来て迎えた。
「いらっしゃいまし」
と、土居の方へ挨拶をした。それから無言で帆村の方へ頭を下げた。
「何も用事はなかったんだね」
「はい。別にお知らせするほどの急ぎものはございませんでした。もう現場の方はお済みですか」
「今日の方はお仕舞となった。……で、君は僕が何処に居たか、知っているのかい」
帆村の眼が悪戯児のように光った。
「先生、そんなことぐらい、ちゃんと分っていますわ」
八雲千鳥は、遠慮がちに笑って、帆村の顔と客の顔を見た。
「じゃあ訊くが、何処だい」
「旗田さんのお邸でしょう」
「その通りだ。――でどうしてそれが分ったのかね、僕は何も君へノートを残して置かなかったのに……」
「ノートを残していらしったじゃございませんの」
八雲助手の声に、得意の響きがある。
「はてね」
「灰皿に真黒焦げになって紙の燃え糟がございました。その燃え殻の紙には、鉛筆で書いた文字の痕が光って残っていました。鉛筆は石墨ですから、火で焼いても光は残って居るわけでございますわね」
「もうよろしい、君は大分仕事に慣れて来たようだ」
帆村はそういってにんまり微笑した。
「一体どうしたんだね、今の話は。まるでこんにゃく問答で、僕にはさっぱり通じやしない」
と、土居が二人の間へ割りこんで来た。
「ははは、今の話かね、こういう訳なんだ、僕が今朝君の電話で事務所を出て行ったとき、この八雲君はまだ事務所へ来ていなかった。そこで僕は旗田邸へ行ったことを紙に鉛筆で書いて、それを机の上に残して行こうと思ったが、ふと思いついて、その紙を灰皿の上で火をつけて焼いてしまったんだ。紙は焼けて黒い灰と化するが、八雲君のいったように鉛筆の痕は残っている。それに八雲君が気がつくかどうかをちょっと験してみたというわけだ。ところがお嬢さんはちゃんと気がついた。そこで及第点を与えたという、それだけのこと」
「ふーン、なるほどね。探偵商売もこれじゃ芯が疲れるわい」
土居は八雲千鳥に替って、ポケットから手帛を出して自分の額の汗を拭いた。帆村は土居を奥の書斎へ導いた。そこは雑然と書籍が積みあげられ、実験室には電気の器械器具が並び、レトルトや試験管が林のように立っていて、博物館と図書室と実験室を一緒にしたような混雑を示している部屋だった。帆村は、この雑然たる部屋を滅多に掃除させなかった。これはたとえ一枚の紙片が掃きとばされても重大な結果となることがあったし、また薬品の一壜が壊されても非常に困ることがあったからである。
「まあ、そこへ掛けたまえ」
帆村は時代のついた籐椅子を、彼の大机の方へ引寄せて土居に薦めた。そして帆村自身は、大机に附属している皮革張りの廻転椅子に尻を下ろした。その廻転椅子は心棒がどうかしていると見え、彼が尻を下ろした途端にがくんと大きな音をたてて後へ傾いた。しかし帆村は平然たる顔で、机上のケースから煙草を一本とって口にくわえた。
「さあ、君もこれをやり給え。これは昔の缶入煙草のチェリーなんだからね」
土居は愕いていた。そういう太巻煙草の缶入が昔あったことは、話に聞いていただけだったから。帆村はマッチの火を土居にも貸して、うまそうに紫煙を吸いこんだ。
「妹はどうなんだろう。嫌疑はますます濃くなって行くんだろうか」
土居は心配そうに訊ねた。
「そうとはいえないと思う」
帆村は考えながら応えた。
「僕の観察では君の妹さんに対する係官の嫌疑材料は、今日一日で、まだいくらも殖えなかったと見ている。むしろ妹さん以外の人物へ、新しい嫌疑の眼が向けられ、妹さんの容疑点数はいくらか減ったようにも思われる」
「さあ、その話――今日の調べの話をすっかり僕に聞かせてくれないか」
土居の要求を容れて、彼は今日正午頃から旗田邸に於いて行われた取調べについて詳しく話をした。その話の途中、土居はいくたびか帆村の話の中へ質問を割り込ませようとしたが、帆村はそれを止め、最後まで話を聞いた上にしたまえと勧めた。話はようやく終りとなった。
弾丸が綴る言葉
「さあ、もう何でも質問していいよ」
帆村は、途中で八雲助手の持って来たコーヒーのカップを取上げて、咽喉を湿した。コーヒーは、すっかり冷くなって、底には糟がたまっていた。
「どうも奇々怪々だね。旗田鶴彌を殺したのはピストルの弾丸だというんで、それを中心に調べていたところ、最後に至って、いや死因はピストルで作られたのではなく、心臓麻痺だった――というんでは、たいへんなどんでんがえしじゃないか。死因が心臓麻痺なら、旗田鶴彌殺しという犯罪は成立しないことになる。すると妹は即刻殺人容疑者という醜名から解放されていいわけだ。ねえ、そうじゃないかね」
土居の言葉にも動作にも、新しい元気が溢れて来た。
「一応そういうことが成り立つわけだ。しかし僕の受けた印象では、この事件はそれで結末がつくとは思えない」
「……というと、どうなるんだ」
「いいかね、これは明日裁判医古堀博士の報告を聴いた上でないとはっきりいえないんだが、まあそれはそれとしてだ、旗田鶴彌氏の心臓麻痺は極めて自然に起ったものか、それとも不自然なものであったかによって、又新しく問題が出来るわけだ」
「どういうことだ、その自然とか不自然というのは……」
「つまり、死ぬ前の旗田氏は心臓麻痺を起すかもしれないというほどの病体にあったかどうかが問題なんだ。もし氏が健康を損ねていて、いつ心臓麻痺が起るかもしれないと、医師が警告していた――というような事実が発見されるなら、旗田鶴彌殺害事件なるものは著しく稀薄になるんだ。しかし反対に、旗田氏が心臓麻痺などを起すような病体でなかったということが証明されると、やっぱり旗田鶴彌殺害事件として扱わねばならなくなる」
「君は、どっちだと考えるのか、今までの材料と君の感じとでは……」
土居は妹の有罪無罪の判別を、帆村の次の一答によって決しようとて緊張の絶頂にあった。
「やっぱり殺害事件だと思うよ」
帆村は静かにそういった。
「しかも恐るべき殺害事件なんだ。今日までに余り例のないやり方でもって旗田氏は殺害されたものと信ずる」
帆村の声は、うわごとをいっているように響いた。それは彼が本当に戦慄していることを語るものであった。
「君は誰が犯人であるか、知っているのかね」
土居の言葉は鋭かった。
「知らない、全く知らない」
「犯人の見当ぐらいはついているのじゃないかい」
「いや見当もついていない」
帆村は首を左右に振った。
「それに、犯人の見当などをいい加減につけようものなら、真実が分らなくなる虞れがある。犯人の見当をつけてから、証拠を集めるやり方はよろしくない。あくまでも、確かな証拠を一つ一つ積みあげていって、その結果犯人の形が浮び上ってくるのでなければならない。こんなことは今更君に説明するまでもないことだけれど」
帆村は、まだ誰を犯人とも見当をつけていないことが、この話から分明となった。
「確かな証拠というやつは、もう相当集っているのかい」
「うん。僕としてはいくつかのそれを持っている、動かない証拠をね」
「じゃ、それは今どんな形に積みあげられているのかね。どんな方向に向いているのか」
「まあ、それはいわないで置こう」
帆村は土居の方をじっと見た。
「その証拠なるものが語る謎の言葉を、僕はまだ殆んど聞き分けることが出来ていないんだ。口惜しいことだがねえ」
二人はしばらく沈黙に陥った。部屋の窓から、夕空が赤く焼けているのが見られた。
帆村の事務所(二)
やがて土居が口を開いた。
「ピストルに関する調べは、全く無駄に終ったわけだね、なにしろ死因がピストルの弾丸でないと分ったから……」
帆村は黙って土居の顔を見る。
「ねえ帆村君、そうだろう。すると、その取調べの途中に、重大なる容疑者として新しく登場した小林トメなんかは、容疑者から解放されたわけだろう」
「ピストルは、やっぱりこの事件に重大な役割をつとめていると思う。だからそれに関する取調べは無駄ではないと思うよ」
「なぜさ。意味がないものは消去して考えたがいいと思うがね」
「しかしねえ、君」
帆村は吸殻を灰皿の底にすりつける。
「たとえ旗田氏が心臓麻痺で事切れた後とはいえ、ピストルは旗田氏に向けて発射されたんだからねえ。引金を引いた主は、旗田氏に対して或る感情を持っていたことになる。つまり、旗田氏の頭部へ弾丸を送り込んだということは、彼が一つの言葉を綴って残したことになるんだ。このことは君にも分るだろう」
「旗田氏を撃ったことが一つの言葉を現わしている――ということは分るがねえ……」
「それが分れば、ピストルがこの事件に重大な役割を持っていることが分るじゃないか」
「なるほど、それはそうだ。だが、一体それはどんな言葉を綴っているんだろう」
「綴っているのはどんな言葉か。それはこれから解きに掛るところだよ。そして重要な点は、あのピストルの引金を引いた主が、そのとき既に旗田氏が死んでいるのを知っていたか、それとも知らなかったのか、そこだと思うよ」
帆村の言葉を聞いて土居は笑い出した。
「旗田氏が既に死んでいると分っていれば、御丁寧にピストルの引金を引くこともなかろうじゃないか。だから当人は、旗田氏が既に死んでいることを知らなかったに違いない」
「君は常識家として正しいことをいっている。しかしだね、引金を引くときには、狙う相手を注視しなければならない。そのときに、相手が既に死骸であることに気がつかない場合というのが一体あるであろうか」
「それはないだろうね。死んでいるか生きているかは、一目見れば分ることだからね」
と土居はそう言った後で妙な顔をした。
「おやおや、僕はいつの間にか矛盾したことを喋っているぞ」
「いや、それは大した矛盾ではない。君は、一目見れば死んでいるか生きているか分るといったが、もし一目さえ見ることが出来なかったら、或いは相手をはっきり見ることが出来なかったとしたら、相手の生死を判別し得ない場合が生ずるんだ。例えば、相手が暗闇の中に居る、それに対してピストルの引金を引き、奇蹟的に命中した場合……」
「それは吾々の場合ではない。なぜって先刻君は、芝山宇平の証言として、旗田氏の部屋には電灯が煌々と点っていたといったじゃないか」
「今吾々は一つの演習をやっているんだが、君が気になるなら、この場合はあり得ないとして、横に置こう。……もう一つの場合としては、引金を引いた者の視力が非常に弱いか、それとも精神が乱れていて、旗田氏が既に死骸であることを判別し得なかった場合――こういう場合がある」
「ふーン、すると誰がやった仕業かな」
「ああ、それがよくない」
帆村が舌打ちをした。
「まだ実証上の条件が揃っていないのに、軽々に人物を決めてかかるのはよくない。非常に危険なことだ」
「だけれど、僕は君のように冷静ばかりで押して行けないよ。だってそうじゃないか、僕の妹が絞首台へ送られるか送られないですむかの瀬戸際に今立っているんだからね。一秒でも早く犯人を突留めたい。犯人らしい有力者でもいいが……」
「深く同情する。しかしそういう場合であるが故に、一層君は冷静でなくてはならないと思う」
「いや、僕はもう我慢が出来ない。皆はっきりさせてしまわないでは居られないんだ」
土居は激しく喘いだ。
「ピストルをぶっ放したのは誰だ。そのピストルは家政婦の部屋から出て来た。家政婦が撃ったに違いない。家政婦は旗田鶴彌に深い恨みを抱いていたんだ」
「家政婦が撃ったと決めるのは軽卒に過ぎる。家政婦があのピストルを使ったものなら、花活の中なんかにピストルを隠しておくものか。部屋を調べりゃすぐ分るからね」
「そうでない。巧妙な隠匿場所だ」
「それに、あのピストルの弾丸が、どの方向から、そしてどんな距離から飛んで来たのかを考えてみたまえ。あれは少くとも旗田の身体から三メートル以上は離れたところから撃ったものだ。そしてその方向に窓があることを思い出したまえ」
「窓? 窓は閉っていた」
「うん、窓は閉っていた、硝子扉が平仮名のくの字なりになって閉っていた――と芝山は証言している。ということは、硝子窓は、いつになく、よく閉っていなかったんだ。内側のカーテンも細目に開いていたという。だから外から窓を開いてピストルの狙いをつけて撃ったんだとしても、今いった条件にあてはまるわけだ」
「すると……」土居は愕きの目をみはって、
「すると犯人は窓の外からピストルを室内へ向けて撃ったというのかね」
「犯人――かどうか知らんが、引金を引いた主は、窓の外から撃った公算大なりと、僕は認めている。このことは尚明日、はっきりした証拠を現場でつかみたいと思っている。もし時間に余裕があればね」
「そんな大事なことなら、今日のうちに調べて置けばよかったのに」
「なあに、ピストルを何処から撃ったかという問題は、大して重大なことじゃないんだ。だから急いで調べるに及ばない」
「僕は反対だ。それは非常に重大なことと思うがね。窓の内側か外側か、どっちから撃ったかということで、容疑者の顔触れががらりと変るんではないかね」
「すると君は、その顔触をどんなに区別するつもりか」
「僕はこう思う」
土居は一層真面目な顔付になって、
「窓の内側――すなわち室内であれば、家政婦の小林か芝山宇平が怪しい。また窓の外からであれば、小林……小林を始め婦人ではあり得ない」
「婦人でないというと誰々のことだ」
「沢山の容疑者がある。亀之介、芝山宇平、その外に死んだ鶴彌と関係のある男たちだ」
「芝山は、部屋の中でも外でも、両方に可能性があるんだね」
「芝山は怪しい奴だ。ねえ、帆村君。君はこの男に目をつけているんじゃないか。怪しい節がうんとあるよ。老人ぶっているかと思うと、若者のようにとんでもない色気を出したり、言うことだって何をいっているか分ったもんじゃないし、その前身だって洗ってみる必要があるよ」
「三津子さんはピストル関係者ではないのかね」
帆村はいきなり話題を転じた。
「もちろん無関係だ。なぜといって、妹は鶴彌氏に送られて玄関を午後十一時頃に外へ出ている。鶴彌氏の死んだのは、それから一時間ぐらい後のことなんだ。その頃僕は家へ帰りついていて、妹はちゃんと家に居た。それからは外へ出なかった、その夜は……。妹はピストルには無関係だ」
「それはいい証言だ。明日大寺警部には是非聴いて貰って置こう。先生は三津子さんが撃ちかねないものと考えているようだから」
「とんでもない話だ。うちの妹はピストルの撃ち方だって知らないんだ」
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