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空襲警報(くうしゅうけいほう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-24 15:50:53  点击:  切换到繁體中文


   空中の地獄


 空襲して来た敵機隊との最初の空中戦は、銚子ちょうし海岸を東へ去ること五十キロの海原の上空で始まった。――志津飛行隊に属する戦闘機隊が、敵の第一編隊を強襲したのだった。……
 つづいて、その南方の海面の上空で、谷沢飛行隊と、敵の第二編隊とが出合い、ここでもまた物凄い地獄絵巻がくりひろげられていった。
 グワーン、グワーンとうなる敵の機関砲。
 ヒューンといなないては宙返りをうち、ダダダダダーンと、敵機にいどみかかるわが防空戦闘機。
 あッ、戦闘機が翼をうちもがれて、グルグルまわりながら落ちてゆく。と見る間に、敵の一機も真黒な煙をひいて撃ち落された。
 こうした激しい空中戦が、敵の各編隊を迎え、相模湾さがみわん上でも、東京湾の上空でも行われた。
 口径四十ミリの敵の機関砲は、思いの外すごい力をもっていた。わが戦闘機は、敵に迫る前に、この機関砲の餌食えじきとなって、何台も何台も撃ちおとされた。
 しかし、その間に、敵機の数もまた一台二台とへっていった。勇猛果敢なわが戦闘機は、しゃちのように食下って少しも攻撃をゆるめないのだ。上から真逆落まっさかおとしに敵機へぶつかって組みあったまま燃落ちるもの――壮烈な空の肉弾戦だ。
 敵の陣形はすっかり乱れた。
 かじをかえして、太平洋の方へ逃出すものがある。のがすものかと追いかける戦闘機、中には逃足を軽くするため、折角せっかく積んで来た五トンの爆弾を、へどのように海上へ吐き出して行くのもあった。
 ただ、各編隊を通じて十機あまりは、雲にまぎれて戦闘の攻撃機をのがれ、東京へ東京へと、のろいの爆音を近づけつつあったのだ。
 しかし、東京の外側を幾重にもとりまく各高射砲陣地が、どうしてこれを見のがそう。ねらいすました弾丸は、容赦もなく敵機にみついていった。
 翼をくだかれて舞いおちるもの。
 火災を起して、大爆音とともに裂けちるもの。
 傷ついてふらふらと不時着するもの。
 数十分前に、意気高く「東京撃滅!」を叫んだあの六十三機の大空軍は、今その姿を失おうとしている。
 だが、安心するのはまだ早い。東京湾上の雲にひそんだ一機、二機、三機――が死物ぐるいに帝都の空へ迫っているではないか。


   爆撃下の帝都


 魔鳥のような敵機の姿はついに品川沖に現れた。海岸の高射砲は一せいに火蓋ひぶたをきった。その煙の間を縫うようにして、見る見る敵機は市街の上……。
 けたたましい高射機関銃の響が八方に起こった。
 敵機の翼の下から、ありの卵のようなものがパッととびだした。その下は、ああ、旗男たちの住む五反田の町!
「あッ、爆弾投下だッ。うわーッ、この真上だぞう……」
 この爆弾の雨をみた旗男は、高台を駈けおりながら、大声で叫んだ。――彼は空襲の知らせを聞くと、病める両親をはじめ家族たちをすぐ防毒室の中に入れ、あとのことをお手伝いさんと竹男に頼むと、自分は少年団の一人として、町にとびだしてゆくところだった。そのとき旗男は大事な持物を忘れなかった。右肩には防毒面の入ったズックのかばんを、また左肩には乾電池で働く携帯用のラジオ受信機を、しっかり身体につけて出た。
「うわーッ、あれあれ。爆弾だ、爆弾だ」
「あわてるなあわてるな。落ちるところを注意していろ!」
 鍛冶屋の大将は大童おおわらわで防護団を指揮していた。
 町々からは恐怖の悲鳴がまいあがる。
 ガラガラガラガラ!
 ドドーン、ドドーン!
 破甲弾よりは、ややひくめながら叩きつけるような大音響とともに、パーッとたちのぼる火炎かえんの幕!
 うわーッという凄惨せいさんな人間の叫び!
 町まで出てきた旗男は実をいうと、気が違いそうであった。しかしここで気が違っては日本男子ではないと思って、一生懸命、自分の手で自分の頭をなぐりつけた。ゴツーン、という音とともに感ずるズズーンという痛み、そこでハッと気がついた。
「あッ、焼夷弾が……」
 向こうの屋根に小型の爆弾が落ちたと思うと、パッと眼もくらむような光が見えた。
「こっちだ、こっちだ」
「おお」
 鍛冶屋の大将が声を聞きつけとんできた。
「オイ皆、早く消しにゆけ。防火班、全速力だッ!」
 手近にいた者が駈けだそうとすると、その前に、またつづけさまに三発、ドドドーンと白煙が天にちゅうする。
「うわーッ、やられたッ……」
 と鍛冶屋の大将が叫んだと思うと、どうと倒れた。
「おお、担架たんか、担架」
「イヤ何、大したことはない」
 大将はムクムクと起き上ってきて手を高くあげた。
「砂だ、砂だ。オイお前は、ホースを引っぱれ。早く早く。落ちついて急げ!」
 防護団はあまりの強襲にあって、頭がカーッとして、何がなんだかわからない。
 手あたり次第、眼にとまった方に駈けだしてゆく。これではいけない。もっと落ちつかねば……と気がついた旗男は、ふと天幕テントの中に、赤い房のついたラッパを見つけた。
「そうだ、これだッ」
 旗男は天幕の中にとびこんで、ラッパをつかむより早く、口に当てて、タタタァ……と吹鳴らし始めた。それは勇ましい戦闘ラッパだった。
 タッタ タッタ タッタ タッタ タッタ タッタ
「おお、戦闘ラッパが鳴っている!」
「おお、あれは誰が吹いているのだろう」
 嚠喨りゅうりょうたるラッパの音を聞いた人々は、にわかに元気をとりもどし始めた。
「おお、旗男君。さすがに、やるなァ!」
 と鍛冶屋の大将は頭をふった。そして腹の底から声をふりしぼって叫んだ。
「そォらッ! 今あわてちゃいかん。がんばれがんばれ。あと十分間の我慢だ!」
 火災はさいわいにして、日頃の訓練が物をいって大事に至らずにすんだ。
「……瓦斯ガスだッ、瓦斯、瓦斯!」
 坂上から、伝令の少年が自転車に乗って駈けくだってきた。
「ホスゲンだ、ホスゲンだ。……防毒面を忘れるな」
「毒瓦斯が流れだしたぞう……」
 恐怖の的の毒瓦斯弾が、落ちたらしい。それっというので、防護団の諸員はおそろいの防毒面をかぶった。警報班員は一人一人、石油缶を肩からつって、ガンガン叩いて駈けだす。
「瓦斯は坂の上の方から下りてくるぞ。防毒面のない人はグルッとまわって風上へ避けろ。なるべく高い所がいいぞ。そこを、右へ曲って池田山いけだやまへ避難するんだ!」
 旗男は後に踏みとどまって、坂上から徐々に押しよせてくる淡緑色の瓦斯を睨みながら、さかんに手をふった。彼は、勇敢にも時々防毒面と頭との間に指ですき間をつくり、瓦斯のにおいをかぎわけようとつとめた。

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