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為文学者経(いぶんがくしゃきょう)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-23 16:03:15  点击:  切换到繁體中文


文学者ぶんがくしやは一の社会問題しやくわいもんだいなり、貧民ひんみんが、僧侶ばうずが、娼妓しやうぎ社会問題しやくわいもんだいとなれる如く。
熟々つら/\かんがふるにてんとんびありて油揚あぶらげをさらひ土鼠もぐらもちありて蚯蚓みゝずくら目出度めでたなか人間にんげん一日いちにちあくせくとはたらきてひかぬるが今日けふ此頃このごろ世智辛せちがら生涯しやうがいなり。学校がつこう卒業そつげふ証書しようしよが二まいや三まいつたとてはなたしにもならねばたかかべ腰張こしばり屏風びやうぶ下張したばりせきやまにて、偶々たま/\荷厄介にやつかいにして箪笥たんすしまへば縦令たとへばむしはるゝともたねにはすこしもならず。学士がくしですのなんのと云ツたところ味噌摺みそすりはふらずお辞義じぎ礼式れいしきじゆくせざれば何処どこいつてもけいしてとほざけらる※(二の字点、1-2-22)結局おちにてだしもけいさるゝだけをとくにしてめてもの大出来おほできといふべし。ミルトンたからかにぎんじたところ饑渇きかつなか々にしがたくカント哲学てつがくおもひひそめたとて厳冬げんとう単衣たんいつひしのぎがたし。学問がくもん智識ちしき富士ふじやまほどツても麺包屋ぱんやには唖銭びた一文いちもん価値ねうちもなければ取ツけヱべヱ中々なか/\もつてのほかなり。トヾ結局つまり博物館はくぶつくわん乾物ひもの標本へうほんのこすかなくば路頭ろとういぬはらこやすが学者がくしやとしての功名こうみやう手柄てがらなりと愚痴ぐちこぼ似而非えせナツシユ勿論もちろん白痴こけドンづまりなれど、さるにても笑止せうしなるはこれ沙汰さた飯粒めしつぶらるゝ鮒男ふなをとこがヤレ才子さいしぢや怜悧者りこうものぢやとめそやされ、たまさかきた精神せいしんものあればかへつ木偶でくのあしらひせらるゝ事沙汰さたかぎりなり。騙詐かたり世渡よわた上手じやうず正直しやうぢき無気力漢いくぢなし無法むはう活溌くわつぱつ謹直きんちよく愚図ぐづ泥亀すつぽんてんとんびふちをどる、さりとは不思議ふしぎづくめのなかぞかし。
かゝなかにも社会しやくわい大勢力だいせいりよくいうする文学者ぶんがくしやどのは平気へいき平三へいざ行詰ゆきづまりしともおもはず。はるうら/\てふともあそぶやはな芳野山よしのやまたまさかづきばし、あきつきてら/\とたゞよへるうしほ絵島ゑのしままつさるなきをうらみ、厳冬げんとうには炬燵こたつおごり高櫓たかやぐら閉籠とぢこもり、盛夏せいかには蚊帳かや栄耀えいえう陣小屋ぢんごやとして、こめたはらよりぜに蟇口がまぐちよりいづ結構けつこうなかなに不足ふそく行倒ゆきだふれの茶番ちやばん狂言きやうげんする事かとノンキ太平楽たいへいらく云ふて、自作じさく小説せうせつ何十遍なんじつぺんずりとかの色表紙いろべうしけて売出うりだされ、二号にがう活字くわつじ広告くわうこく披露ひろうさるゝほかなんよくもなき気楽きらくまい、あツたら老先おひさきなが青年せいねん男女なんによ堕落だらくせしむる事はつゆおもはずして筆費ふでづひ紙費かみづひえ、たか大家たいかと云はれてたさに無暗むやみ原稿紙げんかうしきちらしては屑屋くづや忠義ちうぎつくすを手柄てがらとは心得こころえるお目出めでたき商売しやうばいなり。つきゆきはなおろいぬんだとては一句いつくつくねこさかなぬすんだとては一杯いつぱいなにかにつけて途方とはうもなくうれしがる事おかめ甘酒あまざけふとおなじ。
くのごと文学者ぶんがくしや身分みぶん不相応ふさうおう勢力せいりよくいうし且つ身分みぶん不相応ふさうおうのンきなり。気楽きらくなるものは文学者ぶんがくしやなり、うらやましきもの文学者ぶんがくしやなり、接待せつたいさけまぬ者も文学者ぶんがくしやたらん事をほつし、ちたるをひろはぬ者も文学者ぶんがくしやたるをねがふべし。
しかるにすねたる阿呆あはういた文学者ぶんがくしや斥罵せきばすれども是れ中々なか/\識見しきけん狭陋けふろう現示げんじせし世迷言よまいごとたるにぎず。冷静れいせいなる社会的しやくわいてきもつれば、ひとしく之れ土居どきよして土食どしよくする一ツあな蚯蚓みゝず※(「虫+鰌のつくり」、第4水準2-87-64)※(「虫+齊」、第3水準1-91-69)おけらともがらなればいづれをたかしとしいづれをひくしとなさん。濁醪どぶろく引掛ひつかける者が大福だいふく頬張ほゝばる者をわら売色ばいしよくうつゝかす者が女房にようばうデレ鼻垂はなたらしあざける、之れ皆ひとはなあなひろきをしつしりあなせまきをさとらざる烏滸をこ白者しれものといふべし。窮理きゆうりけつしてなるにあらず実践じつせんなんあさしと云はんや。魚肴さかな生臭なまぐさきがゆゑやすからず蔬菜やさい土臭つちくさしといへどもたふとし。むまつのなく鹿しかたてがみ[#「馬+※(柳の正字、第4水準2-14-72)のつくり」、219-16]なくいぬにやん[#「口+若」、219-16]いてじやれねこワンえてまもらず、しかれどもおのづかむまなり鹿しかなりいぬなりねこなるをさまたけず。かせぐものあればあそぶ者ありめる者あればふ者あるが即ち実相じつさうなればおの一人ひとり勝手かつて出放題ではうだいをこねつけてかほをするは云はふやうなき歿分暁漢わからずや言語同断ごんごどうだんといふべし。縦令たとひ石橋いしばしたゝいて理窟りくつひね頑固ぐわんことうことの如く、文学者ぶんがくしやもつ放埓はうらつ遊惰いうだ怠慢たいまん痴呆ちはう社会しやくわい穀潰ごくつぶ太平たいへい寄生虫きせいちうとなすも、かく文学者ぶんがくしや天下てんか最幸さいかう最福さいふくなる者たるにすこしも差閊さしつかへなし。しかるを愚図々々ぐづ/\さかしらだちてのゝしるは隣家となりのおかずかんがへる独身者ひとりもの繰言くりごとなんえらまん。
加之しかのみならず文学者ぶんがくしやもつ怠慢たいまん遊惰いうだ張本ちやうほんとなすおせツかいたま/\怠慢たいまん遊惰いうだかへつかみ天啓てんけいかなふをらざる白痴たはけなり。つゝしんでおもんぱかるにかみ御恵みめぐみあまねかりし太古たいこ創造さう/″\時代じだいには人間にんげん無為むゐにして家業かげふといふ七むづかしきものもなければかせぐといふ世話せわもなく面白おもしろおかしくくつ日向ひなたぼこりしてゐられたものゝ如し。アダム二本棒にほんぼう意地いぢきたなさのつまぐひさへずば開闢かいびやく以来いらい五千ねん[#ルビの「ねん」は底本では「わん」]今日こんにちまで人間にんげん楽園パラダイス居候ゐさふらふをしてゐられべきにとンだとばちりはたらいてふといふ面倒めんだうしやう※(二の字点、1-2-22)さて迷惑めいわく千万せんばんの事ならずや。かみ創造さう/″\御心みこゝろ人間にんげんたのしましめんとするにありてくるしましめんとするにあらず。無為むゐ天則てんそくなり、無精ぶしやう神慮しんりよかなへり。正直しやうぢきかうべかみ宿やどる――いやな思をしてかせぐよりは正直しやうぢきあそんでくらすが人間にんげん自然しぜんにしていのらずとてもかみまもらん。文学者ぶんがくしやを以てだいのンきなりだい気楽きらくなりだい阿呆あはうなりといふ事の当否たうひかくばかりパチクリさしてこゝろ藻脱もぬけからとなれる木乃伊ミイラ文学者ぶんがくしやに是れ人間にんげん精粋きつすゐにあらずや。
且つ又聖経バイブルの教ふるところれば天国てんこくかんとすれば是非ぜひとも小児せうにこゝろたざるべからず。小児せうにの如くタワイなく、意気地いくぢなく、湾白わんぱくで、ダヾをこねて、あそずきで、無法むはふで、歿分暁わからずやで、或時あるときはおやま大将たいしやうとなりて空威張からゐばりをし、或時あるときデレリ茫然ばうぜんとしておいもえたも御存ごぞんじなきお目出めでたき者は当世たうせう[#「たうせう」はママ]文学者ぶんがくしやいてぞや。
文学者なる哉文学者なる哉天変地異てんぺんちいわらつてますものは文学者ぶんがくしやなり。社会しやくわい人事じんじちやにして仕舞しまふ者は文学者ぶんがくしやなり。な、神の特別とくべつなる贔屓ひいきけて自然しぜんhypnotizeヒプノタイズ さる※(二の字点、1-2-22)ものは文学者ぶんがくしやなり。文学者なる哉文学者なる哉
我れ三文字屋さんもんじや金平きんぴらつと救世ぐせい大本願だいほんぐわんおこし、つひ一切いつさい善男ぜんなん善女ぜんによをしてことごと文学者ぶんがくしやたらしめんとほつし、百でツたむまの如くのたり/\として工風くふうこらし、しらみひねる事一万疋に及びし時酒屋さかや厮童こぞうが「キンライ」ふしを聞いて豁然くわつぜん大悟たいごし、茲に椽大えんだい椎実筆しひのみふでふるつあまね衆生しゆじやうため文学者ぶんがくしやきやう説解せつかいせんとす。
右から見ても左から見ても文学者は最幸最福なる動物なり。我が抜苦ばつく与楽よらく説法せつぱううたがふ事なく一図いちづありがたがツて盲信まうしんすれば此世このよからの極楽ごくらく往生おうじやうけつしてかたきにあらず。銀価ぎんか下落げらく心配しんぱいする苦労性くらうしやう月給げつきふ減額げんがく神経しんけい先生せんせいもしくは身躰からだにもてあますしよくもたれのぶた無暗むやみくびりたがる張子はりことらきたつて此説法せつぱう聴聞ちやうもんし而してのち文学者ぶんがくしやとなれ。朝飯前あさめしまへ仕事しごとにして天下てんかをどろかす事虎列刺コレラよりもはなはだしく天下てんか評判ひやうばんさる※(二の字点、1-2-22)蜘蛛くもをとこよりもさかんなるは唯其れ文学者あるのみ文学者あるのみ





底本:「日本の名随筆60 愚」作品社
   1987(昭和62)年10月25日第1刷発行
   1990(平成2)年6月30日第5刷
底本の親本:「文学者となる法」右文社
   1894(明治27)年4月
入力:奥村正明
校正:菅野朋子
2000年8月1日公開
2005年12月9日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。



●表記について
  • このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
  • [#…]は、入力者による注を表す記号です。
  • 「くの字点」は「/\」で、「濁点付きくの字点」は「/″\」で表しました。
  • 「くの字点」をのぞくJIS X 0213にある文字は、画像化して埋め込みました。
  • 傍点や圏点、傍線の付いた文字は、強調表示にしました。
  • この作品には、JIS X 0213にない、以下の文字が用いられています。(数字は、底本中の出現「ページ-行」数。)これらの文字は本文内では「※[#…]」の形で示しました。

    「馬+※(柳の正字、第4水準2-14-72)のつくり」    219-16
    「口+若」    219-16

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