おかみパワーで魅力アップ
熊本県境近く、北西に万年山を仰ぐ山あいの温泉だ。町田川にそそぐ宝泉寺川に沿って、平安時代の昔から続くという古湯である。いい伝えによると、平安中期の高僧で、空也念仏の祖といわれる空也上人が発見と伝え、上人が修行したという大杉の根元から湯が湧(わ)いたとの伝説が残っている。
宝泉寺川に沿う湯街は、観光的な賑(にぎ)わいをみせるが、最近は保養に力を入れている宿も多く、ひと頃(ころ)に比べると落ち着いた雰囲気がある。婦人客のグループ旅行がわりと目立つ。
宿は民宿も含めて約15軒。温泉街中央で朱塗りの欄干の付いた小橋を渡った川の対岸の数軒の宿などでは、巨岩を組み込んだ洞窟(どうくつ)風呂や、水車のまわる露天風呂、あるいはヒノキの巨木で天井を支える御影石の大浴場、夫婦円満風呂、打たせ湯のある子孫繁栄風呂など、それぞれの宿で、さまざまな工夫を凝らした名物風呂がある。
湯は単純温泉、35~45度。自家源泉を持つ宿もある。皮膚病、婦人病、慢性消化器病、神経痛、関節痛、筋肉痛、疲労回復などの効果がうたわれる。
平成13年4月から、女性ならではのアイデアと智恵を生かして、温泉街の魅力アップを研究して行きたいということで、「宝泉寺温泉おかみの会」(会員10名、佐藤武子会長=ホテル「山光園」)が発足、まず温泉街の美化ということでフラワーポットを設置、秋と春とで花を入れ替え、郷土料理の研究会、観光案内マップの作成などをはじめ、月1回の会合が待ち切れない、と張り切っている。これから打ち出されるおかみパワーの成果が大いに期待される。
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