美肌の湯 日本三名泉の一つ
思いがけなく若い女の子の姿が多いのに驚いた。旅館組合の脇に造られた「足湯」に、若い娘たちが嬉々(きき)として足を浸している。おしゃべりにも夢中だ。4~5人のグループが目立った。
宿に入る。やはり女性のグループが多い。街を歩く。華やいだ雰囲気がある。昔は芸妓(げいぎ)さんの歩く夜の湯街が温泉情緒を作り出していたというが、今はすっかり変わって、健全な保養を求める高年層と、家族連れが多くなっている。南飛騨国際健康保養地づくりにも力を入れている。
「高山などの人気を合わせて、美肌の湯としての効果が最近は認知されてきたこともありますね」とは、下呂温泉旅館協同組合理事長・滝多賀男氏の話だ。草津温泉(群馬県)、有馬温泉(兵庫県)と合わせて、「日本三名泉」と、江戸時代初期の儒者・林羅山が元和7年(1621年)に訪泉して世に紹介された歴史のある温泉であることも、最近の人気の底辺にあるようだ。
飛騨川にかかる温泉街中央の「いで湯大橋」を渡って行くと、河原のまん中に川石で囲われた自然のままの露天風呂が見おろせる。誰でも、いつでも入れるが、まわりを遮るものはなに一つないから、両岸をびっしり埋める宿の部屋からも、すべてまる見えである。それでも野趣豊かなこの露天風呂は魅力的であるから、朝な、夕なに入浴する人が多い。私も川風を受けながら大らかな気持ちになって入浴を楽しんだ。
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