新たな空の玄関に賭ける
平成15年7月に開港した能登空港が去る3月4日に10万人目の利用者を迎えた。
「金沢へ行く感じで東京へも行ける」と語った珠洲市の主婦。その「首都圏からの近さ」に賭ける和倉温泉の期待はどこよりも大きい。1日に1万人の収容力は北陸でも指折りの大温泉地。能登半島の内浦、能登島を正面に置く波静かな七尾湾に面した風光明媚(めいび)な地に、収容30名程度の小旅館から1400人余を収容する大ホテルまで、28軒の宿が海岸線を中心にズラリと威容を誇る。
温泉の歴史自体は1200年を数え、海中に湧(わ)く温泉に白鷺(しらさぎ)が足を浸しているのを見て発見されたと伝えられ、和倉の名も「涌浦」から生まれたといわれる。温泉街中央の弁天崎公園「湯元の広場」には今でも塩分の濃い源泉が健在で、1200年の歴史を語るモニュメントを見ることができる。
しかしここ数年、時代の趨勢(すうせい)には勝てず、団体客は激減、苦戦を強いられてきた。空港開港を期に、京阪神から首都圏へシフト強化を計るとともに、外国人旅行者誘致に力を注ぐ宿も出てきている。最大大手の加賀屋では年間8000人の外国人、特に台湾からの客を受けており、能登空港へのチャーター便も迎えるほどだ。
昨年、日本自体が観光立国を宣言したこともあって、石川県もこれに倣う。現場も「文化の違いはあってもホスピタリティマインドは世界共通」という認識で、能登空港という新たな玄関口を活用した取り組みに期待をかけている。
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