外湯で楽しむ1100年の名湯
長門市の南西、低い山々に囲まれて、約1100年の歴史を刻むと伝わる。西日本では有数の湯治場だ。
リウマチの名湯と言われ、狭い露地に軒を接するように湯宿が並び、懐かしさとともに、肩の力が抜けるようなホッとした安らぎを覚える。
延喜16年(916)、薬師如来の化身である白猿によって発見されたと言い伝えられる。アルカリ性単純温泉の効果に江戸時代から定評があったと言われ、当時の藩主入湯のため、お茶屋が設けられたとのこと。
俵山温泉の特色は、各宿が内湯を持っておらず、町中にある「町の湯」「川の湯」の外湯・共同浴場へ入りに行くこと。湯治客たちはタオルを手に、げたを鳴らして浴衣がけで外湯へ出向く。それがまた湯街の風物の一つにもなっている。
「町の湯」は、温泉街の中央にあって、数年前に全面的に建て替えられた。まだ新しく気持ちが良い。
入り口に飲泉湯があって、入湯の前後に一杯ずつ源泉を飲用すると、胃腸の病気や糖尿、肝臓などにいい。お湯につかるとリウマチ、神経痛など、体の痛みに効果がある。
湯町のはずれ近くにある「川の湯」は、二つに区切られた大きな浴槽が窓側にあって、切り傷、やけど、皮膚病などに効果があると言われている。
宿は約40軒。木造のこぢんまりした旅館がほとんどで、いずれも家族的な親しみがある。長年の常連さんが多いが、中には旅館泉屋のように、外国からの常連さんを持つ宿もある。
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