11.猫
日本の猫は、縁起のよい動物でもあり、恐ろしい動物でもあります。猫が顔をなでるしぐさは福を招いているようにも見え、その形が「招き猫」として縁起のよい置物になっています。一方、猫は化けて出ると考えられた時代もあり、日本の妖怪の中には「化け猫」がいます。ペットブームともいわれる現代は、世界中の猫が日本で飼われていますが、伝統的に優れた猫とされているのは三毛猫です。 12.狸
狸は東アジア(日本、朝鮮半島、中国)にのみ生息する穴熊に似た夜行性の動物です。非常に驚くと仮死状態となって人を欺くため、「狸寝入り」といえば寝たふりをすることをいいます。日本の民話では、いろいろなものに化けて人をだますが失敗ばかりするユーモラスな動物として描かれています。また狸は腹で鼓を打つと信じられ、その様を歌った『証誠寺の狸ばやし』は英語でも歌われました。 13.狐
狐は日本人にとっても『イソップ童話』に出てくる狐と同様、人をだます悪賢い動物というイメージがあり、民話や伝説などでもしばしば悪役を演じています。また人間に憑いして狂わせる悪霊でもあります。
一方、稲荷神社の境内で見かける座った狐の石像は、神の使者としての狐を表しています。
14.蝶
日本人にとって、蝶は美しい昆虫の代表の1つです。日本にいる蝶は約260種を数えますが、よく目にするのはもんしろちょうとあげはちょうです。また、国の蝶はおおむらさきといいます。
蝶は古くから和歌に詠まれ、歌に歌われてきました。特に菜の花に飛び交うもんしろちょうは、春を告げる光景として親しまれています。
15.蝉
蝶やとんぼなどと並び、日本人に親しまれている昆虫で、夏になると山や里の木々で一斉に鳴き始めます。その数が多いとまるで鳴き声のシャワーのようになるため、これを「蝉時雨」といいます。歌や俳句にも数多く詠まれており、俳聖・芭蕉の俳句には有名な蝉時雨を詠んだ句があります。蝉は生まれてわずか1週間ほどで死んでしまうため、かげろうなどとともに、人のはかない命にもたとえられます。
16.とんぼ
日本を昔は「あきつしま」といいましたが、「あきつ」とはとんぼのことです。初代天皇の神武(神話による)が蚊に刺されたとき、とんぼが飛んできてこの蚊を食べたので名付けられたという伝説があります。夏から秋にかけてさまざまな種類のとんぼを見ることができ、日本の代表的な昆虫といえるでしょう。特に子供たちに親しまれ、『赤とんぼ』という、秋の詩情を表した童謡の名曲もあります。
17.蛍
この昆虫は、清流の茂みなどに住み、初夏の5月ごろから7月中旬に姿を現わします。尾のあたりから青白い光を発するため、夏の夜などに虫籠に入れてその光を鑑賞することも盛んに行われていました。しかし近年清流が少なくなるとともに蛍もその数が減り、昔行われていた蛍狩りもできなくなりました。昔は、蛍の光は戦争で死んだ兵士の魂が姿を変えたものだと信じられていたこともありました。
18.天然記念物(動物)
自然の中で貴重・希少なものを保護する目的で、日本では文化財保護法が制定されています。これを天然記念物といい、捕獲は禁止されています。対象となっている動物には、アマミノクロウサギ・トキ・アホウドリ・メグロ・オオサンショウウオなどの日本特産種がいます。また、特産ではありませんが分布が限られているものとしては、タンチョウなどがあげられます。そのほか、生物群集として鹿児島県の鶴とその渡来地、ゲンジボタルの発生地、千葉県の鯛生息地、カブトガニ繁殖地などがあります
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