「湯の川」せき止め露天風呂
酸性の強い温泉で、口に含むとかなりすっぱい味がするところから、昔は酢川(すかわ)温泉の名があった。温泉街を流れる川は酢川と呼ばれ、黄色い硫黄成分が源泉湧出(ゆうしゅつ)口や周辺の河原の石に付着し、いかにも温泉成分の濃さを物語っている。
蔵王山の中腹に展開する温泉街の中心は、高湯通りと湯の香通りの2本の坂道で、旅館、土産店の並ぶ間に、下湯、上湯、川原湯の共同浴場がある。いずれも木造りの浴槽に源泉が掛流しになっている。下湯脇には源泉石臼(いしうす)があって、黄褐色の湯があふれている。
その他、新左衛門の湯、蔵王センタープラザ、源七露天の湯などの日帰り入浴施設が多彩にあって、それぞれ特色をうたっている。なかでも圧巻は「蔵王温泉大露天風呂」。湯街の脇の上ノ台南通りのくねくねと続く坂道を15分ほど登ったところに、かもしか大橋が湯ノ川に架かっている。その橋のたもとに露天風呂入り口がある。
湯ノ川のその名称の通り、自然に湧(わ)くお湯がそのまま川になっているのだ。河原の大岩や川石を利用し、湯ノ川をせき止めて湯船をいく段にもわたって仕立てあげたもので、1度に200人は入れるというでっかいスケールが自慢でもある。
上流に女性用、下流に男性用の浴槽があって、まん中がフロントと丸太造りの休憩所。広々とした湯船に体を浸(つ)けて、まわりの山肌を見上げると、降るような緑のあふれる自然いっぱいの環境が、心身をすがすがしいものにする。
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