河原で混浴、和気あいあい
頭上を圧するように巨大なダムがそびえ立っている。その直下の旭川の広い河原に、「砂湯」と呼ばれる大露天風呂がある。いつでも誰でも自由に入浴できる。混浴風呂である。湯原温泉の名物である。
中国山地の山あいに点在する湯郷温泉、奥津温泉と合わせて「美作(みまさか)三湯」と呼ばれる1つだ。
旅館や土産物店の並ぶ湯街を奥へたどる。突き当たりに、高さ74メートルというダムの壁を仰ぐ川床に、東屋を掛けた露天風呂は「長寿の湯」「美人の湯」「子宝の湯」の3つの湯船が並んでいる。脱衣場はごく簡単な服を置く棚があるだけだ。
自然の岩や川石で囲った浴槽の底には玉砂利や砂が敷き詰められ、アルカリ性単純温泉、源泉で37~51度の湯が流しっぱなしになっている。混浴だが水着は着用しないのがルール。いつも和気あいあいの裸天国がいい雰囲気をつくっている。
朝の食事前に散歩がてら訪れたら、せっせと浴槽の中を歩いている初老の婦人を見かけた。「足裏に湯船の底の砂利が刺激になって、リハビリの効果があるんです。湯治に見えた方などに歩行浴を勧めています」と、ゆばらリゾートの古林伸美さん。
湯原温泉は国民保養温泉地に指定されている。最近、湯治・保養に力を入れているだけに、休養を求めてやってくるお客さんが増えている。古林さんのところでも、「湯治滞在向き」を打ち出し、湯原温泉全体の新しい方向づくりに力をそそいでいた。
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