海で泳ぐ魚の様子を、遠隔地でも水中にいるようなリアルさで観察できるシステムを京都大のグループが開発した。海中で全方位のパノラマ映像を撮影し、インターネットで送って映し出す仕組み。17日から、このシステムを使い、若狭湾に面した京大フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所(京都府舞鶴市)の魚礁の観察を始める。
開発したのは、京大学術情報メディアセンターの森義昭・助教授、波部斉・助手と大学院情報学研究科の松山隆司教授らのグループ。
レンズが6個ある6眼のカメラを海の中に沈めて、360度全方位のパノラマ映像を撮影。これを多面体上に投影して圧縮する技術を用いてインターネットで送り、直径1.8メートルのドーム形ディスプレーに映し出す。画質はパソコン並みで、全方位を見渡せる。遠く離れていても、リアルタイムで臨場感たっぷりに「海中」を観察できるという。
同水産実験所では、施設わきの水深7メートルの海底にスギなどの間伐材を用いた魚礁を設け、効用を探る研究を進めている。この魚礁の観察にシステムを使うことにし、京大総合博物館(京都市左京区)の展示会場に置いたディスプレーに17日、舞鶴の海を映す予定だ。
森さんは「海に潜るのと違って、人がいない状態で魚の動きが観察できる。海から遠い学校の理科の授業などでも使えそうだ」と話している。 |