バグダッドの日本大使館に日本時間28日未明、入った情報によると、バグダッド近郊で日本人2人が乗った車が武装勢力に銃撃され、炎上した。外務省によると、イラクで取材しているフリージャーナリストの橋田信介さん、小川功太郎さんと連絡が取れなくなっており、この2人と見られる。2人の安否は不明だが、車には橋田さんら2人とイラク人の運転手と通訳の4人が乗り、日本人1人が死亡し、運転手がけがをしたとの情報もあり、外務省は事実関係の確認を急いでいる。
現場は、バグダッド南方約30キロのマフムディヤと見られる。
バグダッドの日本大使館に一報があったのは、日本時間28日午前1時40分(現地時間27日午後8時40分)。イラク人運転手の叔父が大使館を訪れ事件を報告した。
マフムディヤ周辺は反米武装勢力の活動が活発で、先月には米兵が攻撃を受けて8人が死亡、4人が負傷したと、米軍報道官が発表している。
橋田さんは戦場取材経験が豊富なベテランのフリージャーナリスト。「イラクの中心で、バカとさけぶ」などの著書がある。小川さんも、日本の週刊誌などでイラク情勢などを報告している。
2人はサマワに派遣されている自衛隊の取材を終えて、バグダッドに帰る途中だったとの情報もある。
日本時間午前2時過ぎにバグダッドの大使館から外務省に一報が入り、外務省は3時15分、オペレーションルームに対策本部を立ち上げた。堂道秀明中東アフリカ局長ら幹部が情報収集にあたっている。首相官邸では28日午前6時前から、野田健内閣危機管理監、安全保障・危機管理担当の柳沢協二官房副長官補らが集まり、官邸の危機管理センターなどで情報収集にあたった。内田俊一内閣広報官は6時40分過ぎに官邸に入る際、「午前4時前に、『日本人が襲われたらしい』という連絡が入った」と記者団に語った。
イラクで邦人が襲われたのは、昨年11月のティクリートでの外交官2人殺害事件、今年4月にファルージャ近郊で相次いで2件起きた人質事件に続く。改めてイラクの深刻な治安情勢が浮き彫りになった。
外務省によると、人質事件の時点ではイラクにはサマワの自衛隊員を除き、報道関係者を中心にNGO(非政府組織)関係者など約70人が滞在していた。人質事件後、一部の報道機関がイラクでの取材を控えているため報道関係者の人数は減少しているとみられる。外務省は現在イラクに滞在している邦人の数については「安全のため非公開にしている」としている。
外務省はイラク戦争が近づいていた昨年2月、イラク全土に渡航情報で最高レベルの退避勧告を出した。その後も米軍への襲撃や外国人の誘拐が相次いでいることを受け、今年に入ってから計20回の臨時のスポット情報を出し、繰り返し退避を呼びかけてきた。27日にも、前日にバグダッドで起きたロシア人技術者の殺害事件を受けて改めて渡航延期と退避を呼びかけるスポット情報を出していた。5月に入ってから4回目の情報だった。 (05/28 08:39)
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