パソコンの記録用に長く使われてきたハードディスク駆動装置(HDD)の人気が、一時の停滞から上昇に転じている。小型、大容量・高速という特徴で、録画再生機器や携帯用音楽プレーヤーなど、パソコン以外の用途が増えているためだ。小型化技術で先行する日本メーカー3社は増産に積極的だ。
HDDの世界の出荷台数は、00年に約2億台に達したあとはほぼ頭打ちが続いていた。それが、03年には約2億6000万台に急増した。07年には、ほぼ倍増する見込みだという。MOや記録用CDなど光ディスク装置が06年に約2億5000万台程度と見込まれるのに対し、成長が際立つ。
好調の原因になっているのが、HDD付きのDVDレコーダーと、音楽用プレーヤーの出荷増だ。
HDD付きのDVDレコーダーの出荷は03年には約300万台に達し、05年には世界で約1000万台と見込まれている。
米アップルが01年に売り出した音楽用の「iPod」は、今年1月までに200万台を出荷、ライバル各社も同様の製品を投入し始めた。
HDDを取り外してメモリーのように持ち運び、様々な機器に接続できる製品も登場し始めた。国内メーカーなどが規格作りを進める「iVDR」で、将来はテレビやパソコン、カーナビ、携帯電話でも画像・音楽データの受け渡しに使えると期待されている。
こうしたHDD人気に日立製作所の子会社、日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は21日、中国・深セン市で約550億円をかけて新工場を建設する計画を明らかにした。05年内に3.5インチの生産ラインを稼働させ、情報家電向けに順次、生産機種を増やす。タイの製造工場へ約220億円を追加投資して生産台数を現在の年間約3千万台から倍増させる計画も持っている。
国内3位の富士通は、04年度に前年度比48%増の1850万台まで増やす予定だ。2位の東芝も「03年度に続く増産を予定している」という。
HDDの世界の市場占有率はシーゲート、マックストアなどの米国勢が上位を占める。
だが、今後伸びると見られる小型のHDDでは日本が優位に立つ。今後、韓国サムスン電子が2.5インチに参入、米シーゲートも1インチへの参入を明らかにするなど、競争の激化も予想されるが、日本勢は富士通が1.8インチへの参入を検討したり、東芝が開発に成功した世界最小0.85インチの実用化を目指したりするなど、一層の小型化で対応する構えだ。
(06/22 03:06) |